一方、バー氏は1日の公聴会で捜査結果の説明は適切だと強調した。4ページの文書は「結
論をありのままに示した」と訴えた。「モラー氏は文書が不正確とは言っていない」と指
摘した上で「(捜査結果に関する)メディア報道が不正確だと懸念していた」と主張した。
モラー氏は書簡でメディアに不満を示していないが、バー氏は双方に見解の隔たりはなか
ったとアピールした。

モラー氏が電話で自作の報告書のうち捜査結果の要約を早期に公開すべきだとバー氏に要
求していたことも明らかになった。だがバー氏は「断片的な公開に関心はない」と拒否し
た。バー氏は公聴会でモラー氏の書簡を「少し無礼だった」と評した。真意を伝えられな
いと焦るモラー氏の懸念を軽んじていた公算が大きい。

バー氏は1日も「トランプ氏は誤って非難された」と指摘し、疑惑捜査の被害者だと擁護
した。捜査妨害の疑いでは、トランプ氏は側近を通じてモラー氏の解任を画策していたが、
バー氏は代わりの特別検察官を任命する可能性があり、トランプ氏が捜査の打ち切りを意
図したとは言い切れないと指摘した。モラー氏は報告書で「捜査介入の意図を示す証拠が
多数ある」と結論づけていた。

野党・民主党はトランプ氏寄りのバー氏に反発を強めた。20年の大統領選に名乗りを上げ
たカマラ・ハリスやエリザベス・ウォーレン、キルステン・ジルブランド各上院議員は1日、
一斉に辞任を要求した。ペロシ下院議長も「司法長官に求められる資質を満たしていない」
と厳しく非難した。5月中にモラー氏を公聴会に招致し、捜査結果を巡る真相解明を目指す。

トランプ政権は民主党の対応を批判した。サンダース大統領報道官はツイッターで「民主党
はすばらしい公人に対して根拠のない攻撃をして自らをおとしめている」と断じた。バー氏
は民主党が多数派を占める下院で2日に予定していた公聴会を欠席する方針を決めた。民主党
の反発を買うのは必至で対立が収束する兆しはない。