【シリア 帰れぬ祖国】14 安田さん自己責任論で思うこと 11/09 10:21 更新

 シリアで武装勢力に拘束されていたフリージャーナリストの安田純平さんが解放されました。
このことに日本国内で「自己責任論」などさまざまな意見がありますが、
シリア人としての私の考えを述べたいと思います。(中略)

 もし安田さんのような人がいなければ、死から逃れるために、祖国を脱出する人がいることを誰も知りません。
祖国で生きることの危険が理解されなければ、世界は難民を受け入れないでしょう。

 私はシリア人として、シリアで取材するジャーナリストをサポートして欲しいと願っています。
もし、安田さんのようにシリアで辛い時間を過ごさなければならなくなったなら、申し訳ないと思います。
そして、たとえ拘束されても、なおも真実を追い求める姿勢を称賛したいです。

 安田さんの解放には、カタールが多額の身代金を支払ったと言われています。
このお金がテロリストの資金源になってしまうのが問題だとの意見があります。
でも、テロリストは今回の身代金に限らず、あらゆる方法で資金を集めています。
テロリストを支持する人や国が、長年に渡り多額の資金を提供してきたのです。
カタールだって、安田さんを拘束したのとは別の武装グループにずっと前から資金を提供しています。
それは問題にしないのですか? それは論理的ではありません。

 私には難民としてヨーロッパに渡った兄弟がいます。今は、向こうで平和に暮らしています。
シリアの現状を理解し、サポートしてくれている人たちに感謝しています。
もし世界の人々がシリアの問題を知らなかったら、何も変わりません。
一人でも多くの人にシリア問題を知ってほしい。
そして、私自身も、これからも機会を与えられる限り講演活動を続けていきます。(原文は英語)
ttps://www.hokkaido-np.co.jp/article/246543

>アスィー・アルガザリ 1992年、シリアの首都ダマスカス近郊のダルアーで生まれる。
>内戦が始まり、2014年1月に姉夫婦が住むサウジアラビアに、両親らと脱出。
>その後、インターネットの交流サイトで道内在住の女性と知り合い、結婚を決意する。
>15年に来日して結婚後、配偶者ビザを取得して道内で暮らし始めた。
>1年半で日本語を習得し、現在は札幌市内で妻と暮らす。