>>146
『千夜一夜物語』の時点で、美しい目元を見て一瞬で恋に落ちまくってるからのう。
「コール粉に彩られた」「コール粉に縁取られた」なんて表現がよく出てくる。

元はエジプト壁画にあるような濃い緑のアイラインであった。
これは孔雀石をすり潰してアイラインにまぶすという、とてつもなく高価な化粧品であった
のじゃが、アラビアに伝わるとコール粉になった。

コール粉は、アーモンドの殻やリバンという香木の樹脂を燃やして採った煤で出来ており、
象牙や銀などで作られた化粧用針を香水で湿らせ、粉をつけてアイラインを引く。
イギリスの東洋学者、E.W.レインは『エジプトの生活―古代と近代の奇妙な混淆』の中で

「素顔の若い女性を間近で見ることは出来なかったけれど、エジプトやアラブの女性には
美人が多い」

と言っておる。
それほどにベールの奥からチラリと覗く目元が魅力的だったんじゃな。