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■「4島返還」原則堅持を 北海道大学名誉教授 木村汎氏
http://www.kenjikabashima.com/blog/2019/01/post-9db3.html
 1956年の日ソ共同宣言を基礎に平和条約交渉を進めるのは危険だ。まずタイミングがよくない。国際情勢を長い目でみた場合、
時間がたつほど日本に有利になるから急ぐ必要はない。ロシアは少子化が進み、軍事面以外は徐々に衰退していくというのが
研究者の間でのもっぱらな見方だ。日本は4島返還の原則を堅持し、時間をかけて交渉すればチャンスは回ってくる。
 いまなぜ56年宣言まで戻る必要があるのか。当時の鳩山一郎政権はシベリアなどに抑留された日本人約60万人の帰還を政権
の課題に掲げ、共同宣言に盛り込む必要があった。当時の日本は国際連合に加盟できず、どん底だった。60年以上たって日本の
経済力は世界3位。ロシアは10位前後だ。日本はもっと自信をもって交渉に臨むべきだ。
 安倍晋三首相は自分の任期内に決着させるとして交渉期限を自ら区切ってしまった。交渉は期限を決めた方が不利になる。
首相の自民党総裁としての任期は2021年9月までで3年もない。プーチン氏の任期は24年までで、憲法を改正してさらに延ばす
との見方もある。プーチン氏は交渉が長引くほど首相は焦るとみて強気にでてくるだろう。

 歯舞・色丹の「2島返還」で合意となれば、国後・択捉の2島は放棄することになる。日本が領土問題をどう解決するかは中国や
韓国、米国が注視している。安倍首相が譲歩したとみれば、沖縄県・尖閣諸島や島根県・竹島を巡る問題で足を引っ張られる。