https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31880010X10C18A6FF8000/
トランプ氏、G7首脳との不仲説は「フェイクニュースだ」
2018/6/17 22:19

【ワシントン=中村亮】トランプ米大統領が主要7カ国(G7)首脳との不仲説に真っ向
から反論している。6月上旬にカナダで開いたG7首脳会議(シャルルボワ・サミット)
はトランプ政権の貿易政策に欧州勢やカナダが反論し議論は紛糾した。だがトランプ氏は
メディアがフェイク(にせ)ニュースで不仲説をあおっていると主張。17日朝もツイッター
を通じ「フェイクニュースを一掃しよう!」と訴えた。

トランプ氏は15日、ツイッターにサミットで撮影された9枚の写真を投稿した。議論の最
中、テーブルについたドイツのメルケル首相の手の上にトランプ氏が自分の手を重ね、メ
ルケル氏の笑みがこぼれる場面には「アンゲラ・メルケル(首相)との関係はすばらしい」
と書き込んだ。
ほかにも、グラスを手にくつろいだ様子の参加者と一緒に、建物のベランダに並び、笑顔
を見せる写真も披露した。

さきに独政府が公表したサミットの写真にはメルケル氏が議論の最中、トランプ氏に詰め
寄る様子がうつっていた。トランプ政権による鉄鋼・アルミへの追加関税など保護主義政
策に欧州勢が猛反発したことを象徴しているとして話題になりG7の亀裂を印象づけた。

トランプ氏はこの写真を念頭に「フェイクニュースを流すメディアは合意に向けた交渉に
おける悪い(怒りを示唆する)写真ばかりを取り上げている」と主張。ツイッターへの投
稿を通じて不仲説の責任をメディアに転嫁し、G7首脳との良好な関係をアピールした。

それでもトランプ氏の言動がサミットで波紋を広げたのは間違いなさそうだ。米紙ウォー
ル・ストリート・ジャーナルによれば、トランプ氏は安倍晋三首相に、移民問題に関し
「私は2500万人のメキシコ人を(日本に)送ることができる。そうすればあなたはすぐに
退陣だ」と述べた。一部メディアでは「暴言」と受け止められている。
さらにトランプ氏は欧州連合(EU)当局が独占禁止法違反などで米企業に科す巨額の罰
金を取り上げ、ユンケル欧州委員長を「残忍な殺人者」と数回呼んだ。フランスのマクロ
ン大統領には「すべてのテロリストはパリにいる」と指摘した。