●通商交渉で有利な条件を引き出すためのトランプ流ディールか?
トランプ大統領の言動には、不確定な部分が多く、今後の展開も不明だ。今回の追加課税に関し
ても、25%という税率の根拠も明らかではなく、さらにその標的に関しても様々な憶測が起きて
いる。交渉が混迷を深めているカナダとメキシコとの間で再協議されている北米自由貿易協定
(NAFTA)への苛立ちからだと言う見解や、ドイツを中心とする欧州連合(EU)に対するものだとい
う見解、さらに自動車輸出の多い日本に対するものだという見解などが出ている。

特に韓国では、最高25%という高関税率が適用されれば、韓米自由貿易協定(FTA)により無関税
で輸出してきただけに、打撃は大きく、韓国経済そのものに大きな影響を及ぼすと懸念されてい
る。また、カナダとメキシコに関しては、北米自由貿易協定(NAFTA)の再協議で譲歩が得られれ
ば、アメリカメーカーであるビック3が主に進出していることから、最終的に関税免除国の認定
にするのではないかとの見方も出ている。

●自動車産業の変革期
トランプ大統領を巡っては、米朝首脳会談が大きく注目されている。しかし、日本にとってはア
メリカの自動車に対する追加課税は、主要産業である自動車産業への打撃は大きい。
しかし、日本の自動車メーカーでもその反応にも温度差がある。トヨタの2017年のアメリカ国内
での販売台数は約243万台で、そのうち日本からの輸出分は約30%を占める。一方、ホンダは同様
に163万台のうち、輸出分はわずか2%しかない。

日本の自動車産業は、電動化、自動運転化、シェアリングと大きな変革期に突入している。この
アメリカの追加課税も、その大きな変革のトリガーの一つになるのか。いずれにしても、商務省
がどういった報告書をトランプ大統領に提出するのか、また、アメリカ国内の批判がどの程度ま
で起きるのかによって、今後の動向は大きく左右される。