そして金委員長との会談においても、会談後のトランプ大統領への「電話報告」において
も、習主席は繰り返し北朝鮮問題への中国の「積極的な役割」を強調し、自国の「役割」
に対する厚かましいほどのアピールを行った。それは、ゲームから外されかねないことへ
の焦りの表れではないのか。

習主席と金委員長との2回目の会談の後、中国国務院新聞弁公室(国務院広報担当)の公
式サイトである「中国網」は、会談の「重要な意味」を解説する論評を掲載した。論評は
その文中、「中国は半島問題において重要かつ積極的な役割を果たしている」「半島問題
における中国の役割はこの上なく重要だ」「半島の非核化は中国の働きが必要不可欠」と、
何回も繰り返して中国の「役割」を主張しているのだが、それもまた、習政権が半島問題
への影響力の保持に執念を示していることの証拠であろう。

しかし、このような意味合いにおいて、中国は決して、北朝鮮の核保有問題の早期解決を
望んでいないことが分かる。なぜならば、この問題が完全かつ迅速に解決された暁には、
中国の「役割」はそれこそ不要なものとなってしまうからである。つまり中国にとって、
最大の関心事は問題の解決ではなく、そこにおける自らの「役割=影響力」の保持である
から、問題の解決が長引くことは、習主席と中国にとって、むしろ好都合なのである。

それこそが、北朝鮮問題に当たっての中国の本音中の本音であろうが、このような中国は
北朝鮮問題解決の妨害者になることがあっても、その積極的な促進者にならないことを、
国際社会はきちんと認識しておくべきであろう。