経済コラムマガジン
17/10/9(958号)
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東京都民は退屈している

(略)

本誌で何度も言ってきたが、東京の有権者の投票行動は昔から特殊と筆者はずっと思っている。とにかく「新党」に投票してみようという雰囲気がとても強い。
新自由クラブや日本新党が躍進したのも東京からであった。筆者は、都民ファーストの会が席巻したのも同様の流れに乗ったからと理解している。

しかし新党ブームが地方には全く波及したことがないことも事実である。特に衆議院が小選挙区制に変り、小さな新党が議席を得ることはまずない。
ところが何を勘違いしたのか、マスコミは希望の党の大躍進が地方にも及ぶと信じている。だから政権交代といった間抜けな話になっている。
また「希望の党」という名だけで当選できると思った民進党の候補者が新党に雪崩れ込んでいる。しかし「民進党」から「希望の党」に看板を変えても、獲得票数はほとんど変らないと筆者は見ている。


とにかく東京人は新しいものが好きである。
もっと正確に言えば新しい物に飛び付きやすい性格の田舎出身者が東京に集って来たと言える(逆に昔から代々東京に住んでいる人々はむしろ保守的である)。
「コーラ」が日本に入って来た時、初めて飲んだのが東京の人々である。田舎出身の東京人には「田舎者はコーラを知らないだろう」という優越感がある。
どう見ても都民ファーストへの投票行動では有権者がマスコミに踊らされていたが、むしろ踊らせられていることに快感を覚えるのが東京人の特徴である。

小池都知事が「排除の論理」を持出したので流れが変ったと、突然、マスコミが言い始めている。
しかしこれは希望の党が伸び悩んだ時の言い訳の準備であろう。最初から新党ブームなんか地方に波及しないというのが筆者の見方である。
むしろ「退屈」以外の都議選での自民党大敗の原因を分析する必要がある。ひょっとすると相続税制の改正による増税なんかが保守層の怒りを買った可能性がある。