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『選択』 2017年12月号
TPPはもう死んでいる
大筋合意は政権とメディアの「大嘘」
ttps://www.sentaku.co.jp/articles/view/17445

 しかし、十一カ国がどこまで合意したかは、疑わしい。会合に出席していたカナダの閣僚は「大筋合意していない」と反論、
トルドー首相の欠席でTPP首脳会合は流会した。

 実際に、TPPは既に二重の意味で死んでいる。一つは米国の離脱で手続き上発効できないという厳然たる事実だ。

 こうした技術論とは別に、TPPは本質的な点で死んでいる。それは「中国主導のルールを許さない」(オバマ前大統領)という
共通目標を喪失したことだ。

しかし競争力を高めるための産業政策に着目した場合、二国間交渉は確実に結果を出してきた。
 二つの例を挙げる。一つは米国が一九八八年の包括通商競争力法(スーパー301条)で日本政府を脅し、電気通信、人工衛星、
スーパーコンピューターの産業育成を断念させたことだ。

 もう一つの例は、安倍政権がTPP交渉に参加するため、二〇一二年末から翌年にかけて臨んだ並行協議だ。安倍政権にとっては
触れてほしくない「古傷」だろう。この「入口交渉」の実態はほとんど公表されていないが、郵政三事業の早期完全民営化など、
米国の要求をほぼ丸呑みした。「TPPへの入場料」と揶揄され、「交渉」の名にも値しない国富の投げ売りが行われたのだ。
 米国がTPPから離脱したならば、TPP参加のために支払った代償を返せと毅然と言うのが、国益を代表するリーダーの責務では
ないか。