「七夕の日に紺野を想う」

紺野に会いたいと思うことは頻繁にあるけど、「もしかしたら紺野と会えるかも知れない」
と思うことは滅多にない。もちろん会えないけど、脳内でそう思って遊びたくなるときが、
年に2回くらいある。正確に言うと昔は2回で、いまは年に1回。ひとつは、毎年の秋冬頃に
開催してたテレ東卓上カレンダーの手渡し販売イベント。これは”かもしれない”ではなく
行けば確実に紺野に会えたけど、紺野がテレ東社員ではなくなってからもその時期になると
ちょっと思い出してしまうんだ。スカイツリーのあの会場で紺野に会えた時を思い出して、
「今年も会いたいな。会えるかな。・・・まぁ会えないだろうな」と思って、それでおしまい。
会場に行くことはなかったし、いまはその時期になってもなにも思わなくなってきてる。

もうひとつは7月7日、七夕。これは紺野とは関係なくて、単純に俺が七夕が好きなだけ。
「Do it! Now」のテレビ初披露の印象が強く残ってるのもあるし、浴衣を着た紺野が笹の
短冊の傍に立ってたら似合うだろうな、カワイイだろうな・・・という妄想も込みだったり。
会えないけど、空は同じだし、時間も同じだし、年に1度くらい、ひょっとしたら・・・

間合いの取り方が全然わからなくて、いろんなことを瞬時に判断することができないまま
気付けばすれ違ってて、あっ、と気付いて振り返ってももう紺野はいない。というのだけは
絶対に避けないといけない。そうなってしまったら今度いつ会えるかわからないからね。
「ねぇ紺野、すごく会いたかったよ!俺ね、紺野のことずっと好きなんだよ、昔から今まで
ずっと大好きなんだよ。」「本当だってば。気付いてる?ねぇ、気付いてよ!紺野!紺野!」
俺は紺野の両肩を強く掴んだまま前後に揺すっていた。紺野は俯いたままで、どんな表情を
してるかはわからない。音もなくゆっくりと流れる天の川。紺野の姿が消えてなくなる。
頭上にも足元にも、四方に広がる満天の星々。「また1年後、か・・・」