まるで「現代の神隠し」をみているような数年間

 まるで『千と千尋』みたいだね、とファンはこの数年、彼女について話してきた。
宮崎駿の代表作『千と千尋の神隠し』の中で、主人公の少女である荻野千尋は、
迷い込んだ異界で湯婆婆との契約に縛られ、本当の名前を奪われ「千」と呼ばれるようになる。

 のん、かつて能年玲奈と呼ばれた女優と所属事務所の間にあった問題の詳細については、
特に芸能界のインサイダーでもない筆者の立場からは控える。
だが、いち視聴者として、あれほど日本中に愛されたスターがある日突然メディアから姿を消し、
そのことが徐々に忘れられていく日々の流れは、ある意味で現代の神隠しを見ているような数年間だった。
彼女を隠したのはもちろん神ではなく、僕たち人間の社会なのだが。