スウェーデンは新型コロナウイルス対策としてのロックダウン(都市封鎖)を実施しなかったことで、当初は一部の賞賛を集めていた。ところが結果として、人口100万人当たりの死者数が世界的にも高い水準になってしまった。もはやスウェーデンの対策は「完全なる失敗」に終わったのではないか──専門家たちがそう考える理由。
(中略)
■無視された批判
スウェーデンの人口は約1,000万人だが、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」による死者は4,000人を超えている。5月12〜19日の平均では、人口100万人当たりの死者数は世界で最も多かった。
ルンド大学の疫学者ポール・フランクスは、「スウェーデンの状況はほとんど変わっていません」と指摘する。「ほかの国で事態が推移したことで、相対的に死亡率が注目されるようになったのです」
文化的に近く医療システムも似ている北欧諸国と比較すると、大きな違いが浮かび上がってくる。スウェーデンの死者数は、ノルウェー、フィンランド、デンマークの3カ国の合計の4倍に達しているのだ。
いったい何が問題だったのだろう。ロックダウン懐疑論者の“希望の星”だったスウェーデンは、いかに欧州でも最悪の感染国のひとつになってしまったのか。
ウイルス学者でスウェーデンの新型コロナウイルス対策を声高に批判してきたリーナ・アインホルンは、「悪い方向に向かい始めたのは1月の終わりだと考えています」と指摘する。アインホルンは中国の調査報告などを研究した上で、2月初旬には政府の感染対策の責任者である疫学者のアンデシュ・テグネルに、医学誌『ランセット』に掲載された今後の見通しに対する懸念を表明する内容のメールを書いた。
ところが、しばらくするとテグネルからは返事が来なくなったという。アインホルンは「公衆衛生庁と政府は批判的な声から自分たちを切り離すことにしたのです」と言う。「政府は2月初めからは一貫して、リスクを軽視する方向に歩んでいます」
■当局の方針を変えられない理由
スウェーデンでは2月後半に「スポーツ休暇」と呼ばれる学校の休みがあるが、この期間には数千人がアルプス山脈の周辺地域でスキーを楽しんだ。これはイタリア北部で感染が爆発的に拡大していた時期と重なるが、国外で休暇を楽しんだ人たちに対する隔離要請などは実施されなかった。また、民間企業では在宅勤務に移行する動きもあったが、公務員は通常通りの勤務を続けていた。子どもも症状がない限りは学校に通っていた。
さらに、スウェーデンも英国と同様に検査能力と個人防護具(PPE)の確保が十分ではなかった。いまでも政府の感染対策の公式ページでは、マスクの着用は感染者が身の周りにいる場合にのみ推奨されている。アインホルンは「当初は無症状者が感染を拡大させる可能性は完全に否定されていました」と指摘する。
(中略)
■集団免疫の獲得を目指したが……
英国など当初は厳格な規制に否定的だった国が方向転換してロックダウンに踏み切るなか、スウェーデンは基本方針を変えていない。その結果、人口100万人当たりの死者数は隣国ノルウェーの10倍近くになり、近隣諸国は国境を開放してもスウェーデンとの往来は禁止している。テグネルはロックダウンを実施しなかったことで前任者から批判を受けている。
(中略)
いずれにしても最近の調査によれば、ストックホルムの住民の抗体保有率は7.3パーセントにすぎなかった。3月後半からロックダウンが実施されたロンドンでは、抗体保有率は17パーセントに上るとの試算もある。
フランクスは「新型コロナウイルスは思っていたほどには急速に広まりませんでした」と指摘する。抗体保有率は感染が集中したストックホルムでも、集団免疫が成立するとされる水準に近い50〜60パーセントどころか、10パーセントにも満たないのだ。感染者が少ないそれ以外の地域では、はるかに低いだろう。
テグネルは記者会見で、抗体が確立するには数週間かかるため、現在の抗体検査の結果は4月末の状況を反映している可能性があると語っている。
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関連スレ
【新型コロナ】スウェーデン 「集団免疫」獲得の兆しか(動画
https://egg.5ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1587705512/
【新型コロナ】ロックダウンしないという選択をしたスウェーデン…「基本的な行動規範に忠実なだけで効果はある」
https://egg.5ch.net/test/read.cgi/scienceplus/1586918413/
https://wired.jp/2020/06/04/sweden-coronavirus-herd-immunity/
(中略)
■無視された批判
スウェーデンの人口は約1,000万人だが、新型コロナウイルス感染症「COVID-19」による死者は4,000人を超えている。5月12〜19日の平均では、人口100万人当たりの死者数は世界で最も多かった。
ルンド大学の疫学者ポール・フランクスは、「スウェーデンの状況はほとんど変わっていません」と指摘する。「ほかの国で事態が推移したことで、相対的に死亡率が注目されるようになったのです」
文化的に近く医療システムも似ている北欧諸国と比較すると、大きな違いが浮かび上がってくる。スウェーデンの死者数は、ノルウェー、フィンランド、デンマークの3カ国の合計の4倍に達しているのだ。
いったい何が問題だったのだろう。ロックダウン懐疑論者の“希望の星”だったスウェーデンは、いかに欧州でも最悪の感染国のひとつになってしまったのか。
ウイルス学者でスウェーデンの新型コロナウイルス対策を声高に批判してきたリーナ・アインホルンは、「悪い方向に向かい始めたのは1月の終わりだと考えています」と指摘する。アインホルンは中国の調査報告などを研究した上で、2月初旬には政府の感染対策の責任者である疫学者のアンデシュ・テグネルに、医学誌『ランセット』に掲載された今後の見通しに対する懸念を表明する内容のメールを書いた。
ところが、しばらくするとテグネルからは返事が来なくなったという。アインホルンは「公衆衛生庁と政府は批判的な声から自分たちを切り離すことにしたのです」と言う。「政府は2月初めからは一貫して、リスクを軽視する方向に歩んでいます」
■当局の方針を変えられない理由
スウェーデンでは2月後半に「スポーツ休暇」と呼ばれる学校の休みがあるが、この期間には数千人がアルプス山脈の周辺地域でスキーを楽しんだ。これはイタリア北部で感染が爆発的に拡大していた時期と重なるが、国外で休暇を楽しんだ人たちに対する隔離要請などは実施されなかった。また、民間企業では在宅勤務に移行する動きもあったが、公務員は通常通りの勤務を続けていた。子どもも症状がない限りは学校に通っていた。
さらに、スウェーデンも英国と同様に検査能力と個人防護具(PPE)の確保が十分ではなかった。いまでも政府の感染対策の公式ページでは、マスクの着用は感染者が身の周りにいる場合にのみ推奨されている。アインホルンは「当初は無症状者が感染を拡大させる可能性は完全に否定されていました」と指摘する。
(中略)
■集団免疫の獲得を目指したが……
英国など当初は厳格な規制に否定的だった国が方向転換してロックダウンに踏み切るなか、スウェーデンは基本方針を変えていない。その結果、人口100万人当たりの死者数は隣国ノルウェーの10倍近くになり、近隣諸国は国境を開放してもスウェーデンとの往来は禁止している。テグネルはロックダウンを実施しなかったことで前任者から批判を受けている。
(中略)
いずれにしても最近の調査によれば、ストックホルムの住民の抗体保有率は7.3パーセントにすぎなかった。3月後半からロックダウンが実施されたロンドンでは、抗体保有率は17パーセントに上るとの試算もある。
フランクスは「新型コロナウイルスは思っていたほどには急速に広まりませんでした」と指摘する。抗体保有率は感染が集中したストックホルムでも、集団免疫が成立するとされる水準に近い50〜60パーセントどころか、10パーセントにも満たないのだ。感染者が少ないそれ以外の地域では、はるかに低いだろう。
テグネルは記者会見で、抗体が確立するには数週間かかるため、現在の抗体検査の結果は4月末の状況を反映している可能性があると語っている。
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