アメリカ国内で、ニューヨークとカリフォルニアの死者数が10倍近い差になっていることに注目が集まっている。これについて山中伸弥・京都大学教授の「新型コロナウイルス情報発信」ブログでも記事が掲載された。

だが冷静になってみよう。ニューヨークは現在の世界で最悪のペースで感染者と死者が広がっている地域だ。ほとんどの場所が、ニューヨークと比べれば良好な成績に見える。カリフォルニア州がニューヨーク州よりも4日外出禁止令を出すのが早かったことが、現在の結果の全ての原因であると断定するのは、簡単ではない。

■山中教授のブログは実情を反映しているのか?

そもそもニューヨーク州が熱心に検査をやりすぎたのではないかという見方もありうるし、ニューヨーク特有の内在的要因に原因があるのではないか、という見方もある。

これらの点が妥当する程度に応じて、外出禁止令の時期が持っていたであろう意味は相対的に低下する。

もしカリフォルニアが早期外出禁止令によって、コロナウイルスを封じ込めたり、あるいはせめて感染拡大を止めたりしているのであれば、文句なく素晴らしい事例だということになるのだが、実は単にニューヨークより少ないだけで、カリフォルニアの感染者数も激増し続けていることに変わりはない。山中教授のブログを読んだ方は、「ニューヨーク=失敗例、カリフォルニア=成功例」であるかのような印象を持つだろう。しかし実情は違う。

山中教授がブログに掲載したグラフはなぜか2週間の3月24日で終わっている古いものなので、カリフォルニアの感染者数は2,628人であるかのような印象を受ける。しかし実際のカリフォルニア州の4月4日時点の感染者数は、13,796人である。

山中教授のブログは4月5日更新の記事だが、そこに掲載されている2週間前の数字は、現時点の感染者数のたったの19%でしかない。現在カリフォルニア州の死者数は323人に達しており、カリフォルニア州当局には自分たちをニューヨークと比較して成功を誇るなどということに時間を使う余裕は全くない状態だ。

サンフランシスコ在住の山中教授の知人の方は、「4月2日時点」の数字として、「サンフランシスコは500人の感染」(現在は529人)で、「ニューヨークは感染者5万人」(現在は63,307人)だと伝えている。カリフォルニア州全体よりもサンフランシスコ市は3日早く外出禁止令を出したので成績がいい、という文脈で、その数字を紹介している。

この理論が正しければ、カリフォルニア州全体の外出禁止令よりも3日早く外出禁止令を出したサンフランシスコ市はさらにいっそう成績が良くなければならない。

実はサンフランシスコ市というのは90万人ほどしか人口がない町で、ニューヨーク市は860万の人口を持つ都市である。両市の感染者数の人口1人当たりの差は12倍程度である。ニューヨーク州の人口は19,440,469人で、カリフォルニア州の人口は約2倍の39,937,489人なので、カリフォルニア州1人当たりの感染者数は、ニューヨーク州1人当たりの感染者数に比べて17分の1にすぎない。

これはどういうことかというと、カリフォルニア州全体で人口1万人当たりに対する感染者数は約3.45人にすぎないが、サンフランシスコ市は5.83人である。外出禁止令の時期に関わらず、州全体よりもサンフランシスコ市のほうが人口に対する感染者比率が高い。つまり、山中教授の知人が列挙している数字は、本当に「外出禁止令の発出時期が感染者の数と直接結びつく」という洞察の説明になっているのか。全く定かではない。

ちなみに4月5日現在の東京都の感染者数は1,034人で、東京都の人口は13,942,856人なので、人口1万人当たり0.74人ということになる。巷では「東京は二週間前のニューヨーク」「東京は外出禁止令直前のサンフランシスコ」といった言い方が流通しているが、それはある意味でレトリックで、過去の取り組みの結果、先に感染者が発生したにもかかわらず、東京のほうがサンフランシスコ市よりもよく感染者を抑え込んでいる、という言い方もできる。

東京都で一番人口の多い世田谷区が938,205人で、感染者も都内で一番多く4月1日時点で64人だった。これは人口1万人あたりで0.68人という数である。

だがその予言者の考え方には、科学的な根拠はない。連日のように新規感染者数が増えているここ数日の東京都の感染者数の増加率を見ても、まだ2週間前のニューヨークの増加率よりも鈍いのである。

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