一度は死んだことに────
船首に人の顔をもつ人面潜水艦、HIDEの所業を加納教授は鋭く指摘した

だが、完全に死んだことにするとスルーされてしまう 
そこで、HIDEは「死んだ後の世界」が続くように仕掛けた

死と同時に、追悼ポエム、カバーソング、そして映画化など矢継ぎ早にマーケティング展開を開始したのである

「本当にダンプカーしか言えないのか」
そのような疑問を持たれて当然だと教授は続ける

通常、折り紙を渡されるとすぐ丸めてしまうような人間に感情はなく、
誰かが作った砂のお城を罪悪感ゼロのまま壊す

「たといそれがいっとう大事であったとしても」
扉を開けて入ってきたのは、かねてより加納教授の説に異議を唱え続けた慶応大学根室教授だった
根室説によれば、HIDEはミームであり「主体たる人格はない」とした
加納教授は、あくまでもおにぎり坊やのような無垢な人間”ひで”が存在し、
邪こそ無いもののそのポエムが結果的に「魚雷8門一斉射」であり「無差別機雷散布」になっているという

その攻撃を受けた中流家庭未満のいわゆるサブプライム層は、みな一様にチリついてしまい
海域一体が反撃の魚雷と機雷で汚染される
バンドウイルカの住めない海となってしまうのである
だが加納教授にはそれが「何のために」かが分からなかった
加納説では、HIDEに主体たる人格があるがゆえに「何のために」を説明しなければならなかったのである

書籍化────ふと、天の声が聞こえた
そうか、書籍化を目論んでいたのならば、パズルの最後のピースが当てはまる───

ルーツオブDTM 〜ノイマン・シェファードの日記〜』
令和3年3月12日
全国のデパート屋上で一斉公開