愛知県内の小学校で先月、小1の男の子が水泳授業で溺れて一時意識不明になった事故が起きました。顔を水につけたり潜ったりする練習中、水中に沈んでいるところを発見されました。

 詳しい原因はまだ分かっていないようなのであくまで一般論ですが、強調したいのは、プール授業では、泳ぎが得意な子も溺れやすいということです。

「ノーパニック症候群」に注意
 ――なぜでしょうか。

 泳ぐ前に緊張したり、潜水時間を延ばすために深呼吸を繰り返したりすると、脳が興奮状態になって、過呼吸になります。それにより、血中の二酸化炭素が低下します。この状態で血中の酸素濃度も低下すると、息苦しさを感じることなく意識を失ってしまいます。

 「ノーパニック症候群」と呼ばれますが、パニックにならないまま、眠るように水底に落ちていく状態です。息こらえ(水慣れのために何秒間か息を止めて水に入ること)や潜りに自信があって繰り返しする子ほど、この状態に陥りやすいのです。


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プール授業、泳ぎが得意な子も注意 「ノーパニック症候群」とは
田渕紫織
2022/7/21 9:00有料会員記事
 学校でのプール事故が相次いでいます。楽しみにしている子どもも多い一方、危険も多いのがプール。学校での安全管理はどうあるべきなのでしょうか。

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 33年間、中高の教員として水泳の指導経験に携わった桐蔭横浜大の井口成明准教授(安全教育学)に聞きました。

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 ――愛知県内の小学校で先月、小1の男の子が水泳授業で溺れて一時意識不明になった事故が起きました。顔を水につけたり潜ったりする練習中、水中に沈んでいるところを発見されました。

 詳しい原因はまだ分かっていないようなのであくまで一般論ですが、強調したいのは、プール授業では、泳ぎが得意な子も溺れやすいということです。

「ノーパニック症候群」に注意
 ――なぜでしょうか。

 泳ぐ前に緊張したり、潜水時間を延ばすために深呼吸を繰り返したりすると、脳が興奮状態になって、過呼吸になります。それにより、血中の二酸化炭素が低下します。この状態で血中の酸素濃度も低下すると、息苦しさを感じることなく意識を失ってしまいます。

 「ノーパニック症候群」と呼ばれますが、パニックにならないまま、眠るように水底に落ちていく状態です。息こらえ(水慣れのために何秒間か息を止めて水に入ること)や潜りに自信があって繰り返しする子ほど、この状態に陥りやすいのです。

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 もちろん、泳ぎが不得意な子が水をたくさん飲んでしまって、気管内に水が入ってしまうケースもあります。

 ――泳げれば大丈夫、というわけではないのですね。

 私は33年水泳指導をし、10年ほど各地のプール事故の事例を分析してきましたが、泳ぎがはっきりと苦手とわかる子が事故に遭ったという例は、とても少ないです。また、泳ぎが得意な子が集まる競技会でも、事故はよく起きています。

https://www.asahi.com/articles/ASQ7N4G6BQ7MULEI001.html