硫化水素は特有のにおいがするから気が付くが、
すぐに鼻が馬鹿になる(感じなくなる)のが恐ろしいところ。
(なぜ馬鹿になるのかはしらないが、たぶん匂いを感じる嗅覚
細胞の細胞膜がすぐにダメになるからかもしれない)。

硫化水素がわずかに含まれた空気をそのまま吸っていると、
湿った肺の表面に硫化水素が溶け込んで粘液の中の硫化水素の濃度が
呼吸をするのに比例して高まっていく。硫化水素はたんぱく質に反応
して硫黄を架橋したりするし、酸素に触れているうちに一部分亜硫酸に
変わる。そうやって粘液に溶け込んだ硫化水素は肺胞や気管などの粘膜
を侵し続ける。そのため遅れて肺水腫などの症状が出てくるから実に
やっかいだ。肺胞の細胞膜がボロボロにおかされると、酸素交換が肺
ではできなくなって、酸欠で死ぬことにもなる。
 硫化水素は危険である。