クラゲはサンゴやイソギンチャクの仲間なのに、なぜクラゲだけ海の中を泳ぐようになったのか。その違いが、ごくわずかな遺伝子にあることを、日本とドイツの研究チームが突き止めました。

クラゲは「刺胞動物」と呼ばれるサンゴやイソギンチャクの仲間で、幼い頃は同じように海底にへばりついていますが、成長すると泳ぎ出します。

なぜクラゲだけが泳ぐのか。

沖縄科学技術大学院大学やドイツの研究機関などで作る研究チームは、「ミズクラゲ」と「ヒクラゲ」のすべての遺伝情報を4年かけて分析しました。

その結果、これらのクラゲはそれぞれ2万余りの遺伝子を持っていることが分かり、この中から、「サンゴやイソギンチャクにはない」「泳ぎ始めるタイミングで働く」「2種類に共通する」という条件で絞り込んだ結果、わずか97の遺伝子しか残らなかったということです。

研究グループは、この97の遺伝子が泳ぐのに必要な筋肉や目を形づくり、クラゲをクラゲたらしめていると見ています。

一方で、遺伝情報全体を見ると、ミズクラゲとヒクラゲは、同じクラゲでありながらほとんど一致しないうえ、特にミズクラゲはサンゴやイソギンチャクに近いこともわかり、複雑な進化の過程をうかがわせています。

沖縄科学技術大学院大学のコンスタンチン・カールツリン博士は、「ほかのクラゲの遺伝情報も調べることで、進化の謎に迫りたい」と話しています。

NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190416/k10011885101000.html