志村五郎「数学をいかに教えるか」(ちくま学芸文庫,2014年)の46〜47ページより引用.

(前略)長方形があってその一辺の長さが3cmであり,それと直交するもう一辺の長さが5cmであるときこの長方形の面積は何平方cmか.
数を示された順に3×5と書くのが自然ではあろうが,そうすべきであるという理由はない.
三角形の面積も同じことである.底辺の長さと高さのどちらを先にするのかきめる必要はない.

(中略)3トン積のトラック5台が1列に並んでいて,そういう列が6列あるとする.砂の総量は全部で何トンか.
1列で3×5または5×3.だから6列で6×(3×5)または(3×5)×6,・・・.
それともトラックが5×6台または6×5台.1台3トンだから(5×6)×3または3×(5×6),・・・.
順序を気にする連中はこのうちどれかが正しい書き方でほかのはすべて誤りであるとしたいのだろう.

これだけ書いたら順序を気にするばからしさに気がつくと思うが.
(中略)
単なる数の掛け算の話に戻ると,結局どちらでもよいのにどちらが正しいかを考えさせるのは
余計なあるいは無駄なことを考えさせているわけである.
だからそんなことはやめるべきである.