昭和生まれ、TVっ子のHIDEチャンが一番好きだった漫画は「ガンダム」───

この物語は、ニュータイプと呼ばれる天才少年が機動戦士「ガンダム」に乗り敵艦隊と激突する
もともと「ガンダム」の性能が良かったこともあり、迎撃してくる敵を次々と撃破
見事、完全勝利を収める

この「ガンダム」で語られるニュータイプとは、簡単に言うと「生まれながらにして持ってる人」のことである

HIDEチャンは、そんな「持ってる人」に憧れ、しかし、持ってはいないことを自覚していた
だから後天的な努力(主に読書)でなんとか「アッパーミドル」を目指したのかもしれない

しかし道半ばにして先に老いてしまった
グッチやアストリッドアンダーセンを着て後ろ姿こそモード系だがを振り返るとただの初老

もう「ガンダム」に乗るチャンスは訪れない
せいぜい、名もないスタッフとして魚雷を打つくらいしかできないのである

敵艦を撃沈したとしてもその手柄はパイロットのものではない
「みんなのもの」「みんなで頑張った」
そう評価される以外にない
たとえ他のスタッフが大して何もしていなかったとしてもである

HIDEチャンは、ここで発狂した

何者かもなれないのであれば、ポエムの世界で自分だけが1番になろうとしたのである

『ルーツオブDTM 〜第七艦隊、突入す〜』
令和3年3月12日
全国のデパート屋上で一斉公開