オッパジマるのか?オッパジマるのか?
野太い声とともに、畳に何かをこぼしたような、ツン、とした匂い───

「あれが、HIDEです」

国立博多大学・心霊研究学会のプロジェクトリーダー、森川圭史はつぶやいた
合同研究に参画していた、マサチューセッツ工科大4年アンドリュー、駿大3年木茂は驚いた

聞いていた人物像とは、かなり違う
まず年齢は40代後半、身なりはあきらかにセーフティネットの下層に住むサブセーフティ層特有の
全体に黄土色っぽい服装
言葉は、ろれつが回っていないが声の勢いはB、いやB+

木茂は持ち前のデジタルブレーンで直ちに分析した

「確かにHIDEである」

多角的に判断し、そう結論づけた
何がオッパジマるというのか、木茂ですらその答えを見つけられずにいたが
アンドリューは「例のビデオレターではないか」と推測した

例のビデオレター、それは、ある初老が配信した「宛名のない遺言」とされる
HIDEをここまで引き付けるエサ────

一同は動画に激しく興味をひかれたと同時に、けして見てはいけないという罪悪感をも想起した

平成30年、冬
まもなく令和が訪れようとしていた

『世田谷ラプソディー 〜時空要撃機イカルス〜』
令和2年2月2日
東日本全域のFM放送で一斉放映