国立天文台などの研究チームは、
宇宙空間を満たしているとされながら直接見ることのできない謎の暗黒物質=ダークマターの量を調べたところ、
アインシュタインの一般相対性理論をもとに予測された値よりも少なかったと発表しました。
アインシュタインのこの理論は宇宙が膨張するスピードを説明する基本となるもので、
研究グループでは今後、さらに観測範囲を広げ、理論を修正する必要がないか調べたいとしています。
宇宙全体の4分の1を占めるとされる謎の暗黒物質=ダークマターは、
光を発しないため直接見ることはできませんが、質量があることから、
重力を発生させ銀河系の形成や宇宙の膨張のスピードに影響を与えていると考えられています。
国立天文台の宮崎聡准教授らの研究チームは、ハワイにある「すばる望遠鏡」の特殊なカメラで、
地球から見える宇宙の0.4%に当たる範囲で暗黒物質がどのように分布しているのかを調べました。
その結果、暗黒物質が特にたくさん集まっているとみられる場所が65か所見つかりました。
これは、宇宙が膨張するスピードを説明する基本となっている
アインシュタインの一般相対性理論に基づく予測に比べ、2割ほど少ない数だということです。
宇宙は膨張し、そのスピードは速くなっているとされますが、暗黒物質の集まった場所が少ないことは、
膨張のスピードがアインシュタインの理論をもとにした予測よりも速く物質がなかなか集まれなかった可能性を示すということです。
研究チームは今後、さらに観測範囲を広げ、理論を修正する必要がないか調べることにしています。
宮崎准教授は「宇宙を膨張させる力の正体や、
アインシュタインの理論に修正の必要がないかわかってくると期待している」と話しています。
■暗黒物質と宇宙の膨張
暗黒物質は宇宙のあらゆる場所に存在すると考えられていますが、
光を出さず、直接見ることも感じることもできない未知の物質です。
長年にわたる宇宙の観測から、銀河や星々の運動が、
私たちの目に見える通常の物質による重力だけでは説明できないことから、
見えない物質による強力な重力が働いていると考えられるようになり、暗黒物質と名付けられました。
詳しい研究の結果、暗黒物質は通常の物質のおよそ5倍あり、
宇宙全体のおよそ4分の1を占めることもわかってきました。
暗黒物質は、星や銀河、さらに銀河の集まった銀河団など、
宇宙の大規模な構造がどのようにしてできたかを解く鍵と考えられ、
世界中の研究者がその正体を突き止めようとしています。
スイス・ジュネーブ郊外にあるCERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関では、
1周が27キロある加速器と呼ばれる巨大な実験装置を使って物質どうしを衝突させ、
暗黒物質の手がかりを得ようとしています。
また、日本でも、東京大学などで作る研究チームが、岐阜県飛騨市の地下にある巨大な実験装置で、
暗黒物質が別の物質と衝突するときに発すると考えられている弱い光をとらえようとしていますが、
これまでのところ暗黒物質の正体はわかっていません。
一方で、宇宙を満たす暗黒物質は、強い重力で銀河などから放たれる光をゆがめていて、
すばる望遠鏡は、このゆがみ具合を調べることで銀河の手前にある暗黒物質の分布を調べています。
大きな目的は、宇宙を膨張させている仕組みに迫ることです。
さまざまな観測結果から、宇宙は加速しながら膨張しているとされていますが、
膨張の速度が速ければ暗黒物質はなかなか集まれず、
逆に遅ければ多くの暗黒物質のかたまりができると見られているのです。
この宇宙の膨張速度と暗黒物質の分布について、
最も一般的な予測はアインシュタインの一般相対性理論をもとにした予測です。
もし、観測結果がこの予測にあわなければ、
宇宙を膨張させている未知の力=ダークエネルギーの正体を知る手がかりになるほか、
アインシュタインの理論が修正される可能性もあり、
アメリカやヨーロッパでも同様の観測に向けた計画が進められています。
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180227/k10011345031000.html
宇宙空間を満たしているとされながら直接見ることのできない謎の暗黒物質=ダークマターの量を調べたところ、
アインシュタインの一般相対性理論をもとに予測された値よりも少なかったと発表しました。
アインシュタインのこの理論は宇宙が膨張するスピードを説明する基本となるもので、
研究グループでは今後、さらに観測範囲を広げ、理論を修正する必要がないか調べたいとしています。
宇宙全体の4分の1を占めるとされる謎の暗黒物質=ダークマターは、
光を発しないため直接見ることはできませんが、質量があることから、
重力を発生させ銀河系の形成や宇宙の膨張のスピードに影響を与えていると考えられています。
国立天文台の宮崎聡准教授らの研究チームは、ハワイにある「すばる望遠鏡」の特殊なカメラで、
地球から見える宇宙の0.4%に当たる範囲で暗黒物質がどのように分布しているのかを調べました。
その結果、暗黒物質が特にたくさん集まっているとみられる場所が65か所見つかりました。
これは、宇宙が膨張するスピードを説明する基本となっている
アインシュタインの一般相対性理論に基づく予測に比べ、2割ほど少ない数だということです。
宇宙は膨張し、そのスピードは速くなっているとされますが、暗黒物質の集まった場所が少ないことは、
膨張のスピードがアインシュタインの理論をもとにした予測よりも速く物質がなかなか集まれなかった可能性を示すということです。
研究チームは今後、さらに観測範囲を広げ、理論を修正する必要がないか調べることにしています。
宮崎准教授は「宇宙を膨張させる力の正体や、
アインシュタインの理論に修正の必要がないかわかってくると期待している」と話しています。
■暗黒物質と宇宙の膨張
暗黒物質は宇宙のあらゆる場所に存在すると考えられていますが、
光を出さず、直接見ることも感じることもできない未知の物質です。
長年にわたる宇宙の観測から、銀河や星々の運動が、
私たちの目に見える通常の物質による重力だけでは説明できないことから、
見えない物質による強力な重力が働いていると考えられるようになり、暗黒物質と名付けられました。
詳しい研究の結果、暗黒物質は通常の物質のおよそ5倍あり、
宇宙全体のおよそ4分の1を占めることもわかってきました。
暗黒物質は、星や銀河、さらに銀河の集まった銀河団など、
宇宙の大規模な構造がどのようにしてできたかを解く鍵と考えられ、
世界中の研究者がその正体を突き止めようとしています。
スイス・ジュネーブ郊外にあるCERN=ヨーロッパ合同原子核研究機関では、
1周が27キロある加速器と呼ばれる巨大な実験装置を使って物質どうしを衝突させ、
暗黒物質の手がかりを得ようとしています。
また、日本でも、東京大学などで作る研究チームが、岐阜県飛騨市の地下にある巨大な実験装置で、
暗黒物質が別の物質と衝突するときに発すると考えられている弱い光をとらえようとしていますが、
これまでのところ暗黒物質の正体はわかっていません。
一方で、宇宙を満たす暗黒物質は、強い重力で銀河などから放たれる光をゆがめていて、
すばる望遠鏡は、このゆがみ具合を調べることで銀河の手前にある暗黒物質の分布を調べています。
大きな目的は、宇宙を膨張させている仕組みに迫ることです。
さまざまな観測結果から、宇宙は加速しながら膨張しているとされていますが、
膨張の速度が速ければ暗黒物質はなかなか集まれず、
逆に遅ければ多くの暗黒物質のかたまりができると見られているのです。
この宇宙の膨張速度と暗黒物質の分布について、
最も一般的な予測はアインシュタインの一般相対性理論をもとにした予測です。
もし、観測結果がこの予測にあわなければ、
宇宙を膨張させている未知の力=ダークエネルギーの正体を知る手がかりになるほか、
アインシュタインの理論が修正される可能性もあり、
アメリカやヨーロッパでも同様の観測に向けた計画が進められています。
NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180227/k10011345031000.html