http://www.nikkei.com/article/DGXMZO17922550R20C17A6000000/

2017/6/21 13:53


 世耕弘成経済産業相は21日午後、東芝が半導体メモリー事業の売却で産業革新機構を軸とした連合と優先的に交渉すると決定したことに関し、歓迎する意向を示した。世耕氏は(1)技術流出の防止(2)四日市工場(三重県四日市市)の雇用確保(3)産業革新機構が出資する場合は日本の産業革新につながるものでなければならない――とした政府の条件を改めて挙げたうえで、「一定の条件を満たしており歓迎したい」と述べた。

http://www.nikkei.com/content/pic/20170621/96958A9F889DE3E5EBE0E0E7E7E2E0E3E2E4E0E2E3E5E2E2E2E2E2E2-DSXMZO1792251021062017000002-PN1-1.jpg
記者団の質問に応じる世耕弘成経済産業相(21日、経産省内)
 経産省内で記者団に語った。東芝は官民ファンドの革新機構や投資ファンドの米ベインキャピタルなどが結成する日米韓連合と優先的に交渉する方針を21日決めた。ただ東芝と対立する米ウエスタンデジタル(WD)による訴訟リスクは解消されていない。世耕氏は「最終的な合意や枠組みついては東芝自身が今後も交渉するということなので、注視していきたい」とした。

 世耕氏は3月8日の衆院経済産業委員会で、東芝に対する革新機構の関与のあり方を問われ「一般論だが革新機構は『企業救済機構』ではない」との認識を示したこともある。21日も記者団から「政府による事実上の東芝救済にならないか」との厳しい質問が飛んだ。世耕氏は「革新機構だけでなく民間ファンドも入っている。民間の技術同士の交流によるシナジー効果ということも今回のディールに入っているのではないか」と指摘。「革新機構はそれを助け、オープンイノベーションで日本の産業革新に貢献する目的で出資するので、いわゆる民業圧迫にはならない」との考えを示した。(経済部 辻隆史)