0001田杉山脈 ★2021/07/17(土) 14:32:15.99ID:CAP_USER
30代で会社を辞めて資産収入で暮らす−。そんなことは莫大な遺産を相続した人やエリートだけの話と思う人も多いのではないか。今、若者に支持されているのが、経済的に自立し、早期退職を目指す「FIRE」という生き方だ。指南本や体験記も相次ぎ出版されている。サラリーマンでFIREを達成した人もおり、「自分でもできそう」と思えるのも人気の理由のようだ。
ミレニアル世代でブーム
「FIRE」とは、Financial Independence Retire Earlyの頭文字からとった造語だ。支出を抑えた生活をしながら投資などで資産を作り、退職後の収入は資産運用で確保。好きなことをして過ごす生き方だ。2000年以降に成人を迎えたミレニアル世代を中心に欧米でブームとなった。
国内での火付け役となったのが、『FIRE 最強の早期リタイア術』(ダイヤモンド社)だ。第一人者であるクリスティー・シェンさんとブライス・リャンさんの著書を翻訳したもので、昨年3月に発売され、累計発行部数は9万部に及ぶ。
クリスティーさんは、中国農村部で貧しい幼少期を過ごす。その後、カナダに移住し、コンピューターエンジニアとして働き、節約と投資で31歳でミリオネアに。仕事を辞めた後は、パートナーのブライスさんと世界を旅行している。
本書では、年間生活費の25倍の資産を築くことや、資産運用しつつ年間4%取り崩して生活すれば、95%の確率で30年後に資金が尽きることはないという研究を紹介。収入額に関わらず、投資リターンと貯蓄率の高さによってリタイアまでの期間が早まるというグラフを明示し、《年収に左右されるわけではありません》と、誰にでもチャンスはあると訴える。貧しい生まれから投資による資産形成で早期リタイアした著者の実体験だけに、説得力もある。
編集担当の木下翔陽さんは「企画したのは2年前の春ごろです。日本でもシンプルな暮らしや『やりたいことをやる』というトレンドなど、FIRE本が売れる素地はありました」と話す。特に30代男性の読者が多いという。
資産形成は目的ではなく手段
昨年6月に出版された『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』(実務教育出版)は現在、7万部。読者は20〜30代が6割を占め、男性が多い。
著者の穂高唯希さんは、三菱グループの大企業に入社した初日に早期退職を決意。「普通でいなければいけない」という空気に違和感を持ったという。支出の最適化や高配当株投資などで資産形成し、30歳でFIREを実現する。
《セミリタイア後も常に何かに挑戦し続けたい》とつづる穂高さん。読者からは「人生観に影響を受けた」「目標ができた」といった声が寄せられている。「お金だけではなく、自由や時間を手に入れるため、というストレートなメッセージに感動した方が多い」と編集担当者。
今年5月に出版されたのが、『めざせFIRE! 知識ゼロから経済的自由を勝ちとる』(主婦の友社)だ。本書によると、著者のぽんちよさんは北陸に住む20代の会社員で年収350万円。さらに、ユーチューバーとして投資動画の発信もしている。社会人となって半年たったころ、業務上、上司の時給単価を知ることになり、「それほど給料が増えない」と将来を不安視。投資の勉強をする中でFIREに出会ったという。投資や副業、節約について著者の実体験をもとに紹介。初心者でも読みやすい、身近に感じられる内容だ。
投資へのハードル低く
FIREでは、投資での資産形成が王道だが、最近は若い世代の投資へのハードルが低くなっていることも、追い風になっている。
ニッセイ基礎研究所の准主任研究員、前山裕亮さん(資産運用担当)は「平成30年につみたてNISA(少額投資非課税制度)が始まったころに、各社でコスト競争が行われ、投資信託でも、昔では考えられないような低コストの商品が出てきました」と説明する。
昨年はコロナ禍で在宅時間が増えた。前山さんは「30歳くらいになると自分の先もある程度見えてしまいますし、昨年は人生について考える時間もあった。多くの人は投資をせずに蓄えることは難しい。今は投資について動画やネットで情報収集できるし、証券口座の開設も手軽。昨年は相場環境もよく、投資をしやすい状況だった」と話す。
一方、マーケティングライターの牛窪恵さんは「バブル崩壊後にも当時の30代に投資ブームがありました。今との共通点は、『この先どうなるのか分からない』と若い世代が感じていること」と指摘する。
https://www.sankei.com/article/20210711-CDIKFFHDVNN6HOZNVKBAXQ35BA/
ミレニアル世代でブーム
「FIRE」とは、Financial Independence Retire Earlyの頭文字からとった造語だ。支出を抑えた生活をしながら投資などで資産を作り、退職後の収入は資産運用で確保。好きなことをして過ごす生き方だ。2000年以降に成人を迎えたミレニアル世代を中心に欧米でブームとなった。
国内での火付け役となったのが、『FIRE 最強の早期リタイア術』(ダイヤモンド社)だ。第一人者であるクリスティー・シェンさんとブライス・リャンさんの著書を翻訳したもので、昨年3月に発売され、累計発行部数は9万部に及ぶ。
クリスティーさんは、中国農村部で貧しい幼少期を過ごす。その後、カナダに移住し、コンピューターエンジニアとして働き、節約と投資で31歳でミリオネアに。仕事を辞めた後は、パートナーのブライスさんと世界を旅行している。
本書では、年間生活費の25倍の資産を築くことや、資産運用しつつ年間4%取り崩して生活すれば、95%の確率で30年後に資金が尽きることはないという研究を紹介。収入額に関わらず、投資リターンと貯蓄率の高さによってリタイアまでの期間が早まるというグラフを明示し、《年収に左右されるわけではありません》と、誰にでもチャンスはあると訴える。貧しい生まれから投資による資産形成で早期リタイアした著者の実体験だけに、説得力もある。
編集担当の木下翔陽さんは「企画したのは2年前の春ごろです。日本でもシンプルな暮らしや『やりたいことをやる』というトレンドなど、FIRE本が売れる素地はありました」と話す。特に30代男性の読者が多いという。
資産形成は目的ではなく手段
昨年6月に出版された『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門』(実務教育出版)は現在、7万部。読者は20〜30代が6割を占め、男性が多い。
著者の穂高唯希さんは、三菱グループの大企業に入社した初日に早期退職を決意。「普通でいなければいけない」という空気に違和感を持ったという。支出の最適化や高配当株投資などで資産形成し、30歳でFIREを実現する。
《セミリタイア後も常に何かに挑戦し続けたい》とつづる穂高さん。読者からは「人生観に影響を受けた」「目標ができた」といった声が寄せられている。「お金だけではなく、自由や時間を手に入れるため、というストレートなメッセージに感動した方が多い」と編集担当者。
今年5月に出版されたのが、『めざせFIRE! 知識ゼロから経済的自由を勝ちとる』(主婦の友社)だ。本書によると、著者のぽんちよさんは北陸に住む20代の会社員で年収350万円。さらに、ユーチューバーとして投資動画の発信もしている。社会人となって半年たったころ、業務上、上司の時給単価を知ることになり、「それほど給料が増えない」と将来を不安視。投資の勉強をする中でFIREに出会ったという。投資や副業、節約について著者の実体験をもとに紹介。初心者でも読みやすい、身近に感じられる内容だ。
投資へのハードル低く
FIREでは、投資での資産形成が王道だが、最近は若い世代の投資へのハードルが低くなっていることも、追い風になっている。
ニッセイ基礎研究所の准主任研究員、前山裕亮さん(資産運用担当)は「平成30年につみたてNISA(少額投資非課税制度)が始まったころに、各社でコスト競争が行われ、投資信託でも、昔では考えられないような低コストの商品が出てきました」と説明する。
昨年はコロナ禍で在宅時間が増えた。前山さんは「30歳くらいになると自分の先もある程度見えてしまいますし、昨年は人生について考える時間もあった。多くの人は投資をせずに蓄えることは難しい。今は投資について動画やネットで情報収集できるし、証券口座の開設も手軽。昨年は相場環境もよく、投資をしやすい状況だった」と話す。
一方、マーケティングライターの牛窪恵さんは「バブル崩壊後にも当時の30代に投資ブームがありました。今との共通点は、『この先どうなるのか分からない』と若い世代が感じていること」と指摘する。
https://www.sankei.com/article/20210711-CDIKFFHDVNN6HOZNVKBAXQ35BA/