2018年04月19日 映画
映画「いぬやしき」の一場面 (C)2018 映画「いぬやしき」製作委員会 (C)奥浩哉/講談社
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 お笑いコンビ「とんねるず」の木梨憲武さんと俳優の佐藤健さんがダブル主演する映画「いぬやしき」が20日からTOHOシネマズ日比谷(東京都千代田区)ほかで公開される。「GANTZ(ガンツ)」で知られる奥浩哉さんの人気マンガを、
映画「GANTZ」2部作(2011年)でメガホンをとった佐藤信介監督が映画化した。16年ぶりの主演作となる木梨さんと、悪役初挑戦の佐藤さんが、善と悪に分かれて繰り広げる壮絶なバトルが見ものだ。

 定年間近のサラリーマン、犬屋敷壱郎(木梨さん)は、職場では上司から無能呼ばわりされ、家では妻(濱田マリさん)や子供たち(三吉彩花さん、福崎那由他さん)に軽んじられ、肩身の狭い日常を送っていた。

 ある日、末期がんを宣告された犬屋敷は、謎の墜落事故に巻き込まれる。それによって機械の体に生まれ変わり、手に入れた超人的な力で人助けをしていく。同じ事故に遭遇し、
犬屋敷と同じ力を手に入れた高校生の獅子神皓(佐藤さん)は、その力で、自分の意志に背く人間たちを殺(あや)めていく……というストーリー。本郷奏多さん、二階堂ふみさん、斉藤由貴さん、伊勢谷友介さんらも出演している。

 一番の見せ場は、新宿の街を舞台に犬屋敷と獅子神が繰り広げる空中バトルだ。獅子神にこてんぱんにやられる犬屋敷が痛々しく、それでも大切な人を守ろうとする姿は胸に迫るものがあった。
ワイヤアクションにも挑戦した木梨さんの熱演は喝采(かっさい)ものだ。一方の佐藤さんも、日ごろの優しい笑顔を封印。持ち前の身体能力を生かし、生気の無い眼で人々を殺めていく残忍な獅子神へのなり切りぶりは見事。

 あり得ない設定ながら、うだつが上がらなかった男が、手に入れたとてつもない力を人様のために使い、生きている実感と自信を取り戻していくという物語は、
極めて人間くさい。余命数カ月と宣告され、せめて最後ぐらいは……と起死回生の働きを見せる犬屋敷には大いに励まされた。(りんたいこ/フリーライター)