わりと思想は合うと思ってる
維新や参政党に取られる前に

「最高裁の性同一性障害特例法についての決定で考えた 性別変更と外観要件の難しさ」東浩紀(AERA dot.)
https://news.yahoo.co.jp/articles/2eeedb0e8bb58e65e23cadd7f891e26c78bba311

とはいえ、手術なしの性別変更には一部市民に強い反発がある。とくにトランス女性への風当たりが強い。ヘイトまがいのデマや偏見もあるが、
男性器を備えた女性の出現が「女性スペース」の心理的安全性を脅かすとの主張には説得力がある。
生殖不能要件は違憲、外観要件については判断を下さずという今回の最高裁の決定は、そのような世論を考慮した苦渋の選択の面もあったのではないか。

 今後論点は外観要件の是非に移ることになるが、解決は難しい。人権の観点では外観要件も撤廃が望ましいが、現実には両性の身体にはイメージに大きな差異がある。
男性の身体に恐怖を覚える女性は数多くいる。女性の身体を恐れる男性はほとんどいない。実際に多くの性暴力は身体男性から身体女性に向けられている。
この非対称性が消えない限り、そう簡単に性も身体も自由に選べるという話にはならないだろう。

 かつて性は与えられるものだった。いまは自分で選べるものに変わった。
しかし「他者が自分をどう見るか」まではコントロールできない。性別変更の問題は、煎じ詰めればそんな哲学的問題に通じている。

◎東浩紀(あずま・ひろき)/1971年、東京都生まれ。批評家・作家。株式会社ゲンロン取締役。東京大学大学院博士課程修了。