【ニュースシネマパラダイス】有村昆です。先月24日にロシアが侵攻して以降、ウクライナ情勢が緊迫しています。圧倒的軍事力を誇るロシアですが、ウクライナも徹底抗戦している模様です。早くこの地に平和が訪れてほしいものですが、いったいどうなるのでしょうか…。

本日は2015年製作のドキュメンタリー映画「ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ自由への闘い」を取り上げたいと思います。これは13年から14年にかけてウクライナで行われた公民権運動を当時の映像を用いて描いているのですが、今回の戦争の背景を知るにはうってつけの作品なんですよ。

10年にEU加盟を選挙公約に掲げたヤヌコーヴィチが大統領に当選しますが、裏でロシアと通じており、その公約をほごにしてしまいます。これに怒った100人ぐらいの学生たちが13年にデモを行います。するとフェイスブックを通じて首都キエフの広場にどんどん人が集まり、やがて100万人規模の抗議活動に発展するのです。要求するのはヤヌコーヴィチ大統領の辞任。ところが、大統領側も黙ってはいません。デモを鎮圧する私設部隊「ベルクト」を発足させます。この部隊の隊員の中には囚人も含まれていて、モラル意識がまるでない。市民だけではなく、赤十字スタッフまで銃撃するなどメチャクチャなんです。それに対し、市民側もバリケードを作って、火炎瓶で応戦。それを至近距離でカメラを回しているため、迫力満点です。

結局、市民側は125人の死者、1890人の負傷者、65人の行方不明者を出しますが、ヤヌコーヴィチ大統領を辞任させることに成功。つまり、今日のウクライナの自由は、市民が戦って勝ち取ったものなんですね。今回のロシアの侵攻に対し、ウクライナの士気が高いのもうなずけます。その後、ヤヌコーヴィチ大統領はロシアに亡命。翌14年にロシアが、ウクライナのクリミア半島および東部地域を軍事占領するという流れになるのです。

演出の点で一つだけ物足りなかったのは、ロシアの言い分が入っていなかったことでしょうか。やはり一方的な目線だけだとプロパガンダの色が濃くなってしまいます。ただ、それでもウクライナの方々がロシアの属国になるのを拒否し、自由を求めたことは疑いようのない事実。ネットフリックスで今、ものすごく見られている今作品、オススメです!

ウィンター・オン・ファイヤー ウクライナ 自由への闘い
https://youtu.be/te6XqAEXJvs
https://i.imgur.com/Ylor7ba.jpg