>>301
何のために? 投資家のストップ、つまり損切り注文を“狩る”ためにだ。
投資家が売りたいと思ったら、FX会社はカバー先の金融機関を通じて、投資家の反対売買、この場合なら買いの取引を行うのが基本だ。
カバー先との取引は、FX会社にとって、いわば仕入れにあたる。
さて、FX会社には投資家の注文状況が見えている。実勢レートが92.95円のとき、「92.85円に損切りの売り注文が100万ドル分あるな」と思ったら、FX会社が儲けるのは簡単。
実勢レートは92.95円でも、一瞬だけ92.85円を強引につけてしまえばいいのだ(下図参照)。
投資家には92.85円で売らせて、FX会社は92.95円で買ったら、差額分は丸儲け。
これがストップ狩りのロジックだ(※)。

ストップ狩りを行っているFX会社が実際にあるかどうか……それは定かではないが、そのような噂はささやかれている。
「個人的な感触としては、ストップ狩りは行われていますね。明らかに怪しいチャートがありますから」
そう言ってミスターブレインさんが見せてくれたのは、A社のTICKチャートだった(約定したレートを時系列に並べたチャート)。
そこには確かに一瞬だけ急騰して、すぐに戻した不自然な動きが……。
ストップ狩りの疑いが濃いTICKチャートが存在するのは事実だ。
そして、こうしたストップ狩りをプログラムに組み込んでいるFX会社の存在までも、都市伝説のように巷ではささやかれているのだ。
「僕らがやっていたのは、そうした不正業者を利用した取引なんです」

さて、いよいよ話は本題に。では、こうしたFX会社2社のレート差をどうトレードに活かすのだろうか? その話は後編で!

(「“FX会社出禁”トレーダーを捕獲!(2) 禁断の手法!?業者間アービトラージとは?」へつづく)

(取材・文/高城泰(ミドルマン)   撮影/堀内慎祐)

 ミスターブレインさんについては『ダイヤモンドZAi』7月号の特別付録「FX!個人投資家図鑑」にも記事を掲載しています。ぜひご覧ください!

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