近年、一部の材料では「薄膜相(基板誘起相)」と呼ばれる、薄膜特有の結晶相が存在する可能性が指摘されていた。これは、分子が基板上でナノメートルサイズの薄膜層を形成した際に現れる、単結晶とは異なる構造を指す。しかし、単分子層と多層膜の構造を明確に区別する手法が確立されていなかったことが、薄膜成長の初期段階を理解する上での大きな障壁となっていた。
そこで研究チームは今回、この問題を解決するため、分子の並び方を高精度で捉える赤外分光法とX線回折、さらに量子化学計算を組み合わせた独自の解析手法を構築。薄膜の成長過程に潜む「隠れた結晶相」の直接解明を試みたという。