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精神疾患を持つ人は自分と他人が触った感覚をうまく区別できない
2025.11.09 12:00:41 SUNDAY
https://nazology.kusuguru.co.jp/archives/187631
前略
>>実験に参加したのは、幻覚や妄想といった精神病症状をもつ精神病性障害の患者35名と、健康な人35名の合計70名です。
>>1つは自分の右手で前腕をなでる「セルフタッチ」。もう1つは、研究者が同じ場所をなでる「他者タッチ」です。
>>このとき、研究チームは機能的MRI(fMRI)を用いて脳活動を記録しました。
中略
>>さらに別の実験では、腕にごく軽い電気刺激を与え、その反応を脊髄(せきずい)での電位として計測しました。
>>これにより、脳に信号が届く前の段階――つまり身体の根幹である脊髄のレベルで、自分の動作と外からの刺激をどのように処理しているのかを探ったのです。
中略
>>さらに、身体の外側だけでなく内側の感覚(内受容感覚)にも注目しました。
>>参加者には、自分の心拍を感じ取ってボタンで合図する課題と、録音された心音に合わせてボタンを押す課題を行ってもらいました。
>>同時に心電図と脳波を記録し、脳が心臓の鼓動にどう反応しているかを示す心拍誘発電位(Heartbeat-Evoked Potential:HEP)を算出しました。
中略
>>脳画像では、健康な人に比べて患者は自分で触れたときの右上側頭回(Superior Temporal Gyrus)の反応が強い傾向を示しました。
>>本来は自分由来の感覚で反応が弱まる場面ですが、患者ではその抑えが弱い傾向が見られた形です。
中略
>>脊髄レベルでも違いが確認されました。
>>健康な人では「自分で触る」と「他人に触られる」で信号の到達タイミングに差が出ますが、患者ではこの差が小さくなる傾向がありました。
中略
>>内受容感覚の検査でも、患者は自分の心拍を感じ取る正確さが低い傾向にあり、心拍誘発電位(HEP)も小さくなっていました。
>>外側からの触覚だけでなく、体の内側からの信号でも「自分のものとして処理する力」が弱まる傾向があったのです。
中略
>>結果、自分の声が他人の声に聞こえる、誰かに体を操られているように感じるといった誤認が生じやすくなり、これが幻聴や幻覚などの症状が、統合失調症などの患者で見られる原因になっていると考えられます。