奈良林教授は、「ミューオンの加熱処理による増殖」の証拠として Oxford Press の学術論文を示しています。動画では、Oxford大の研究チームがLaser Beamをターゲットに照射した(これは、対象を「加熱」したことになると奈良林教授は主張する)ところ、ミューオンが増えたということがこの論文で示されている」と奈良林教授は主張します。(動画:奈良林直×加藤康子◆放射性廃棄物の無害化に成功!Part1)
しかし、これは、奈良林教授の論文の誤読でしょう? 奈良林教授が示した論文の題は「Enhancement of muonium emission rate from aerogel with a laser ablated surfice (PTF2014)」とあり、そもそもこの論文は「ミューオンの増殖」に関する論文ではない。ミュオニウムMuonium(=「正電荷のミューオン+電子」による疑似原子)が Laser Beam照射により、シリカエアロジェルの表面から飛び出す現象に関して、「ミュオニウムMuonium 放出率の向上(Enhancement of muonium emission rate)」が見られたという主題(テーマ)です。このOxford Press論文の研究目的(テーマ)は、物質内部で既存のミューオンビームから生成されたミュオニウムMuonium 疑似原子をいかに効率よく物質の外(真空中)に取り出す(放出するemitt)、という研究です。「ミューオンの増殖 Multiplication」という主張はどこにも見あたらない。それに、ミュオニウムMuonium というのは、一種の疑似原子ですが、水素原子に似たもので核変換を起こす能力はありません。
以上述べたように、奈良林教授の「新発明」とやらは、残念ながら論文の誤読と断定されます。