ヨーロッパでは殆どセミがいない
アブラゼミやミンミンゼミより小さなセミが数種類いるだけなのだ

南ヨーロッパには少しだけいて、アリとキリギリスの寓話は原作では
アリとセミであった
より北の、西岸海洋性気候ヨーロッパ地域の人にセミと言っても通じないので
キリギリスに書き換えたとされている

北米ではジュウシチネンゼミが有名だが、北米は日本よりずっと面積が広いが
セミの種類数では日本よりまだ少ない
というか、南米ですらあまりセミはおらず、アマゾン流域でもセミそのものは
種数が限られる
ただし、南米で同じように木の汁を吸う半翅目同翅亜目だと、ビワハゴロモという
少なくとも人間の聞こえる音では鳴かないが、巨大な頭部の突起を持つ昆虫が
何種類もいる

アフリカもセミは多くない
だが、アジア南部は物凄くセミの種類が多く、世界の7割のセミはアジア南部にいる
しかし、例えば東南アジアの低地の都市部で街路樹のある街並みを散歩しても
セミは殆ど鳴いていない
低地では乾季の乾燥に耐えられなかったり、雨季に地下水位が上がって溺死したりして
幼虫が育てないのだ

それで傾斜のある所でセミが発生し、山地や丘陵地に行くと日本のセミの倍もある
テイオウゼミだのキエリアブラゼミだのという種類が何種類もいて
ブォーッブォーッとかカンカラカンカラカンカラという感じの変な鳴き声を上げている

都市部なのにセミがいる、という意味では、台湾もセミが多い
ユーラシア東部で少なくとも夏が暑く都市の上下水道を整備して
年間の雨量が偏らず樹木も多い、
という条件が揃うのは日本と台湾だけ、というわけだ