今の職人仕事的なプログラミングは、正当性の証明無しに、プログラマーの
思い込み・直感・経験・センスだけに基づいて作られているからね。
書かれたコードは通常は、なぜここをこうするのか、なぜそのようなデーター
を設けるのか、なぜそのようなデーターの構造を採用するのか、なぜその順序で
実行するのか、なぜそのような条件で処理を分けるのか、などは明示的には書かれて
いなくて、計算機に対して「こうやれ、こうしろ」という形で命令調で書かれている
だけだからだ。そうして命令した結果、そうなったかを確かめずに、そうなったと
して、処理を続けていく。
 きちんとした標準のデータ構造、標準のアルゴリズム、標準の判定法に従って
書かれているものは少ない。そもそも製品間の利害が絡むソフトウェア製品や
内部の構造を秘匿することで他の顧客からも金を巻き上げるビジネスモデルである
バイナリ商売の世界では、すべては闇だから、内部についてそれを読めば誰でも
同じものが再現して作れるような情報は公開されない。職人は仕事の本質について
語らない。修養の結果得た自分のための職業上の秘密として雇い主にだって
開示したくない。もしもすべてをさらけ出してしまえば、それを元に雇い主は
もっと安い賃金で働く奴にその方法でやらせて自分をお払い箱にしてしまうからだ。
秘術というものは他人に見せるものではない。そうやって自分の職業を守るのだ。
 そういうわけで、金回りの良い最先端のソフト開発は大学などではなくて
サラリーの良い企業や軍の研究として行われ、企業などで使い物にならなくなった
ら、大学に転がるわけだが、守秘義務というものもあり、なんでもかんでも開示
されるわけではない。