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269 :日本昔名無し:2012/01/17(火) 13:53:33.55 .net
森博嗣 著 『僕は秋子に借りがある』

「私、怠け者だからかな。バイトしすぎで、ついつい大学の方は怠けちゃったし」
「怠け者は三十キロも歩かないよ」
「三十キロ?そんなにある?」
「とにかく、怠け者には無理な距離だと思うよ」
「ううん、それは違う。三十キロくらい歩く怠け者は沢山いるんだよ。木元君、それは覚えておいて。
私ね、ちょっといかがわしい店で働いてたことあるんだけど、みんなみんな、もの凄くよく働くのよう。
一生懸命仕事するのよう。でもね、駄目。みんな脱落者なんだ。怠け者なんだもん。
三十キロ歩けてもさ、一ページの文字を読もうとしない。なにより、自分を怠け者だって信じているし。」
(中略)
「あ、これあげる」テーブルの上で箱を滑らせて彼女が言った。
「煙草って、私どうも体に合わないから」
「じゃあどうして吸ってるの?」
「堕落しようと思って……」悪戯っぽい目つきを僕に向けて、秋子は言う。