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270 :日本昔名無し:2012/02/03(金) 20:05:59.57 .net
川村湊 著 『言霊と他界』

 言葉は、それが明らかにした世界の一面以外の側面を覆い隠す働きを持っている。
「空は青い」と断言したとき、その言葉は空が空気の澄み具合、濁り具合、温度、湿度などの
様々な要素で青くも、赤くも、白くもなることの可能性を隠蔽してしまうのである。もとより、
空の青さが主観的なものであって、人の感情のままに、黒くも、灰色にも、真っ赤にもなりうることも
すべて捨象されてしまうのだ。
 とすると、言葉は何かを表現するというよりも、何ごとかを表現しないために使われるのであり、
言葉の意味とは、その意味の背後に隠された、いまだ意味を持たざるすべての意味の世界を
その内部に潜めたものにほかならなくなるだろう。