こうした再エネの変動性をカバーするものとして蓄電技術が注目されているが、同論文では、残念ながら蓄電池は救世主になりえないとしている。
そもそも蓄電池のエネルギー保管コストは、既述のように現状では化石燃料の保管コストの200倍も高い。
加えて石油1バレル分のエネルギーをためるために必要な、テスラ社製の20万ドルのリチウム蓄電池の重量は2万ポンド(約9トン)である。
一方石油1バレルは300ポンド(136s)であり1基20ドルのタンクに貯蔵することができる。仮に蓄電技術が、コスト的にも重量ベースでも200%進歩したとしても、石油備蓄の経済性にはかなわないと指摘している。
各国政府は蓄電技術の開発に様々な補助金を出しているが、国のエネルギーを支える規模の蓄電池は、驚くほどの規模になるはずである。
それに加えて、そうした蓄電池を製造するために必要な天然資源とそれを加工地まで運ぶための輸送コストや運搬エネルギーが爆発的に増大することになるという。

 ネバダ州にある世界最大のテスラ社のバッテリー工場、「ギガファクトリー」は建設に50億ドルかかっているが、ここで1年間に生産される蓄電池で蓄電できる電力は、米国の電力消費の「3分間」分に過ぎないという。もし2日間分の電力を貯めようと思ったら、このギガファクトリーが1000年間もフル生産を続けないと足らない計算である。
実際、過去100年間で、全米で無風かつ日照なし、つまり風力も太陽光もほとんど発電できない日が12日以上起きている(10年に1日以上の頻度)という。エネルギー安定供給のためには、少なくとも数分や数時間ではなく、まる1日分以上の電力需要を賄えるだけの蓄電能力が必要となるというわけである。