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それとは別に、医療や福祉の現場でゲームを用いて治療に当たろうとする人々の研究もある。精神科医の香山リカ(1996)は、心を固く閉ざした子どもたちにゲームを媒介すること、ゲームそのものが持つ癒しの機能を活かすことで「治療」の手がかりを得ていく。そうした実践のあり方を教育福祉支援に転用した八尋茂樹(2012)の研究もある。

ゲーム依存のような形で、ゲームから抜け出せず苦しんでいる人がいるとされる一方、ゲームに救われたという人も少なからずいる。単純にゲームの害を説き、一律に規制をかけることは暴力にも等しいと、私は思う。

最後に、私はネット・ゲーム条例に危うさを感じているが、インターネットゲーム障害に関連する研究をくさしたいわけではないことは強調しておく。研究の積み重ねによって、明らかになる事実があってこそ、批判も治療も成立するからだ。