→わずか240歳の中性子星が、1万6000光年先に発見される
→しかも、この中性子星は、極端に強力な磁場を持つ「マグネター」と判明
→3000個見つかっている中性子星の中で、マグネターに該当するのは31個

今年3月、地球から「いて座」方向に1万6000光年離れた場所で、中性子星が新たに見つかりました。

この中性子星は、NASA(アメリカ航空宇宙局)の宇宙望遠鏡「ニール・ゲーレルス・スウィフト」により発見され、「Swift J1818.0−1607」と命名されています。

さらに、その後の追観測の結果、中性子星は誕生後わずか240年しか経っていないことが判明したのです。

人と比べるとかなりの長寿ですが、数千万〜数億年が当たり前な星からすると、まだ生まれたてホヤホヤ。

これぞホントの「ベビースター」でしょう。
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■若いだけでなく、貴重な「マグネター」だった!

中性子星は、質量の大きな星が超新星爆発を起こした後に残る天体です。

直径は15〜30キロと小さいですが、大型天体が放つ光と同等の明るさを持ちます。

そして最大の特徴は、宇宙空間でブラックホールに次ぐ超高密度を誇ることです。

今回見つかった中性子星は、質量が太陽の2倍もあるのに、サイズは太陽の1兆分の1しかありません。

そこに質量のすべてが詰め込まれているのですから、かなりの高密度です。

驚くのはそれだけでなく、この中性子星はなんと、きわめて貴重な「マグネター」だったのです。

マグネターとは、中性子星の中でも極端に強力な磁場を持つ天体のことで、超新星爆発を起こす星の10個に1個がマグネターになると言われています。

その磁場は、一般的な中性子星の1000倍、地球の数百万倍に上ります。

しかし、実際に見つかったマグネターの数は少なく、3000個以上見つかっている中性子星の中で、わずか31個しかありません。

しかも、今回の中性子星は、既知のマグネターの中で最も若く、誕生後まもない状態での観察ができると期待されています。

これまでの研究によると、マグネターはX線に加え、微弱な光である「電波線」や宇宙で最もエネルギーの強い光の「ガンマ線」も放つことが分かっています。

マグネターは若いときに最も活動的であり、経年ごとに物理的性質やふるまいを変化させます。

そのため、今回のような若いマグネターは、その形成および成長過程を解き明かすのに大変役立つでしょう。

https://nazology.net/archives/62901