犬の糸状虫には、ボルバキア(Wolbachia pipientis)という
リケッチアが高頻度で共生していることが知られています。
これらは静かに共生していれば何の問題もないのですが、
ボルバキアは宿主の生殖システムを自身の生存に都合の良いように
変化させる能力を持っています。例えばボルバキアが共生するオス
の節足動物を殺し、メスは生き延び繁殖に貢献しているなどです。
また、宿主を単為生殖(メスが単独で子を作ること)させることにより、
生殖にオスは不要となり、ボルバキアにとって有利となるのです。
犬糸状虫にボルバキアがいなくなると生存できなくなるか、
あるいは生殖不能となることが知られています。ボルバキアの除去により、
犬の体内に居る糸状虫が駆逐されることになるのです。したがって、
リケッチアに有効なテトラサイクリンを使うことにより寄生虫体内の
ボルバキアが駆逐され犬糸状虫症の治療ができるのです。

細菌感染症の切り札として盛んに利用されてきた抗生物質ですが、
イベルメクチンといい、テトラサイクリンといい、寄生虫病の治療
や予防にも利用できることが明らかになってきました。また抗生物質
は抗腫瘍薬としてがんの治療にも利用されることを考えると、
抗生物質が二十世紀の最大の発明品といわれることも理解できるよ
うな気がします。



北川 均,佐々木栄英,西坂直仁,鬼頭克也:犬糸状虫症,
日本獣医師会誌 67;597-602,2014.

以上転用。
おそらく、フィラリアに寄生しているボルバキアを根絶すると、
栄養状態がかたより
増殖ができにくくなる。ガンにもその成長を阻害される要因が出
てくるんだろう。