【4月2日 AFP】
冷蔵庫の中で冬眠していたコウモリたちが、目を覚まして野生に戻る。

 東欧ベラルーシの首都ミンスクにあるコウモリ保護センターには、冬眠のための安全な場所を見つけられないコウモリが、市民によって持ち込まれる。センターのアレクセイ・シュパク(Alexei Shpak)代表は、「コウモリは住宅のバルコニー、団地の玄関、通気孔、地下室などに飛んできて入り込む。雪の中、地面に落ちているところを見つかることもある」と話す。

 センターではコウモリを良好な冬眠状態に入らせるために、1匹ずつ布袋に入れて寝かしつけ、どこにでもあるような家庭用冷蔵庫の中につるす。こうすることで、冬眠に適した湿度と寒さをコウモリに提供できる。

「冬の間、コウモリは非常に深い眠りに落ちる。冬眠には、かなり寒くて湿潤な環境が必要だ」と、シュパク代表は説明する。

 コウモリが冬眠するために適した条件は、気温が0〜5度、湿度が50%以上。「冷蔵庫が最適だ。ごくありふれたタイプの」とシュパク代表は話す。センターには冷蔵庫が1台しかないが、32匹のコウモリが袋につるされた状態で冬を過ごすには十分だ。保護されたコウモリの中には、12月半ばから冷蔵庫の中で眠り続けている「古株」もいるという。

 欧州全域には、ヒメヒナコウモリとコウライクビワコウモリの2種類のコウモリが生息している。センターは国からの資金提供を受けておらず、施設の建物は公立の教育機関から提供されたもので、機材はクラウドファンディングで購入した。

 春が訪れ、外気温が10度を上回るまでに上昇すると、シュパク代表はボランティア3人とともに、コウモリが自然に目を覚ますよう、慎重に布袋からコウモリを取り出す。

■餌の地虫を手から与える

「コウモリは気温の上昇を感じると、体温が少しずつ上がり始めて目を覚ます」と、シュパク代表は話す。

 健康状態を確認するために体重測定をしていると、コウモリは羽を広げて背伸びをする。力がわくように、目覚めたコウモリには手から餌の地虫を与え、ピペットで水を飲ませる。

 日が暮れると、シュパク代表とボランティアは公園へと向かう。地元住民が列をなしてついて行く。公園では、コウモリをそっと木につかまらせる。ここから、以前の巣に戻っていくはずだ。

 コウモリが自然に戻される様子を見守っていた人々は、コウモリに対する偏見がどれほど変化したかについて語っている。

 幼い娘を連れて来ていた教師のアンナさんは、「コウモリはとても醜いけれど、すごく触り心地がよく、小さくてふわふわ」と、コウモリに親しみを感じつつある様子をほほ笑みながら話した。 (c)AFP

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