京都大などの研究グループは、サンゴの白化・死滅を防止する効果がある化学物質を発見したと発表した。
近年は気候変動の影響でサンゴが多数死滅し、絶滅の恐れが指摘されている。
成果は米学術誌「マリン・バイオテクノロジー」電子版に掲載された。

 サンゴは植物プランクトン「褐虫藻」などと共生し、褐虫藻から栄養を吸収する。
しかし、地球温暖化による海水温の上昇や黒潮蛇行による海水温の低下といった温度変化によるストレス、
細菌感染にさらされると、褐虫藻が逃げ出して白化し、栄養不足で死滅する。

 チームはサンゴがストレスを受けて生産する毒性のある「活性酸素」に着目。
褐虫藻がいない状態のアザミサンゴの幼生(プラヌラ)に、
活性酸素を吸着する直径40ナノメートルの微細な粒子を投与した。
この粒子がない場合、培養8日目のプラヌラの生存率は20%程度だったのに対し、
粒子を投与すると80%以上に向上した。

 グループは今後、海洋中に散布した時に拡散せずサンゴにだけ限定的に作用する手法などを探るという。

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20180527/k00/00e/040/205000c