「STAP細胞報道に対する申立て」に関する委員会決定 ― 勧 告
―2017年(平成29年)2月10日 放送と人権等権利に関する
委員会決定 第62号

決定概要
「・・・本件放送は、STAP細胞の正体はES細胞である可能性が高いこと、
また、そ のES細胞は、若山研究室の元留学生が作製し、申立人の研究室で使われ
る冷凍庫 に保管されていたものであって、これを申立人が何らかの不正行為により
入手し混入してSTAP細胞を作製した疑惑があるとする事実等を摘示するもの
となっている。これについては真実性・相当性が認められず、名誉毀損の人権侵害
が認められる。・・・」

「・・・科学的な真実の追求にとどまらず、申立人を不正の犯人として追及する
というような姿勢があったのではないか。委員会は、NHKに対 し、本決定を真摯
に受け止めた上で、本決定の主旨を放送するとともに、過熱した報道がなされている
事例における取材・報道のあり方について局内で検討し、再発防止に努めるよう
勧告する。 」

U 委員会の判断
2.ES細胞混入疑惑に関する名誉毀損の成否について
(5)小括
「・・・本件放送におけるES細胞混入疑惑に関する部分は 申立人の社会的評価を
低下させるものであり、・・・ また、不正疑惑の発覚後、申立人は心的外傷後
ストレス障害(PTSD)で治療を 受ける事態に至っている。これは申立人に
対するマスメディアによる、あるいはインターネット上での過熱したバッシング
が数か月にわたって継続したことなどの結果であり、本件放送の影響は全体から
見れば一部に過ぎないとはいえ、本件放送がNHKの看板番組の1つである
『NHKスペシャル』として全国に放送され、相応の社会的影響があったことから
すれば、本件放送による名誉毀損によって申立人の受けた被害は小さいものではない。 」

V 結論
以上の検討から、STAP細胞とされるES細胞は若山研究室の元留学生が
作製し、 申立人の研究室で使われる冷凍庫に保管されていたものであって、
これを申立人が何 らかの不正行為により入手し混入してSTAP細胞を作製した
疑惑があるとする事実摘示については、名誉毀損の人権侵害が認められる。・・・
不正疑惑の浮上後も、申立人が世間の注目を集めていたという点に引きずられ、
科学的な真実の追求にとどまらず、申立人を不正の犯人として追及するという
ような姿勢があったのではないか。 委員会は、NHKに対し、本決定を真摯に
受け止めた上で、本決定の主旨を放送す るとともに、過熱した報道がなされている
事例における取材・報道のあり方について 局内で検討し、再発防止に努めるよう
勧告する。

http://www.bpo.gr.jp/wordpress/wp-content/themes/codex/pdf/brc/determination/2016/62/dec/k_nhk_62.pdf