「自分の行動」の認識が「相手の反応」に関する信号を変化させ「うれしい」と感じる−−。
自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)は、ジョークで人を笑わせた時に「うれしい」と感じる脳内の仕組みを解明したと発表した。


 角谷基文特任研究員らのグループが実験して分析した。テレビ放映された大喜利からジョーク90本を用意し、
自分で読み上げる▽他人が読み上げる−−の2通りで、被験者38人に観客の反応を聞いてもらい、その時の感情と脳の動きを調べた。

 被験者は事前に面白く読んで人を笑わせるよう指示され、面白さは笑いの大きさで評価されると伝えられた。
「日本食の名前をおしゃれにしてください」とのお題に「ニック・ジャガー」と回答するなどのジョークに、
観客が「大笑い」「小笑い」「笑い無し」の反応をする。これを繰り返し、被験者は自分の読み上げか他人かの度に、
どの程度うれしいかを点数で申告し、その間にMRI(磁気共鳴画像化装置)で脳の動きを解析した。

 まず申告で、自らジョークを言って大笑いの反応があった時が一番うれしいことを確認した。
脳内ではジョークを読んだ時に自分の行為を認識する部位(内側前頭前野)が動き、笑いには音を認識する部位(聴覚野)が活動。
自らのジョークで観客が大笑いした時には、ほめられた時などに反応する部位(線条体)が聴覚野からの信号で活動していた。

 聴覚野からの信号は内側前頭前野の活動によって変化しており、これら三つの部位の動きは結びついていて、
結合の強さとうれしさの量との間に相関関係があると分かった。

 実験は、他人との社会的なやりとりによって、脳がどう動くかを観察したことになる。
角谷研究員らは「コミュニケーションを苦手とする疾患に対する理解が深まることが期待される」としている。

 論文は神経科学雑誌「ニューロサイエンス・リサーチ」電子版に掲載された。

毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20171111/k00/00e/040/263000c