ゲームクロス5/18(火) 7:00
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若い世代から人気を集めているゲーム実況・動画配信。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で巣ごもりの時間も増えたことから、ますます需要が高まっています。しかし、安易に配信をスタートするのは危険です。ゲームの動画配信の増加にともない、ゲームメーカーと著作権をめぐるトラブルも増えています。

「著作権法上でのゲームの扱いは映画と同じ」
ゲームのプレイ動画の配信における著作権の問題は、2020年にイザナギゲームズより発売された「Death Come True(デスカムトゥルー)」における一連の対応で注目を集めました。

俳優をキャスティングした実写ムービーと融合したインタラクティブなゲーム性が特徴であった「Death Come True」は、ネタバレ対策で発売前に違法アップロードの禁止を発表。しかし、発売後に300件以上の違法アップロードを確認し、削除請求の対応や投稿者を特定し、告訴検討の連絡や面談を行うなどの対応をしました。

イザナギゲームズとともに「Death Come True」における著作権の保護に対応してきたのが中島弁護士です。中島弁護士は、ゲームの著作権に関してこう解説します。

「ゲームの映像に関しては、著作権法上では映画の著作物と同様に保護されています。自由にキャラクターを動かせるプレイ動画に関しては、これまで映画の著作物だと明示された判例はないと思われます。しかし、背景の描写やキャラクターなど創作的な表現物が登場していることから、プレイ動画に関しても何かしらの著作権が存在すると考えるのが一般的です」

しかし、ゲームの著作権については映画ほどの知名度がないのが現状です。

「プレイステーション1や2の時代から、ゲームを起動すると『権利者の許諾なく、インターネット上に配信等を行うと著作権侵害になる恐れがある』という喚起が行われていました。しかし、映画館で流れる映画泥棒のように大々的に告知ができていないのが現状です。同時に逮捕にまでいたるような事例もないものですから、映画とゲームに対する著作権の認識には大きな差があります」

若年層を中心にゲーム動画に限らずYouTubeでのアップロードや視聴が増加しています。著作権の認識がないまま配信している層も増えているのが実情です。2020年8月に株式会社ジャストシステムが発表したデータによると、ゲーム動画を視聴し、実際にプレイをしている10代の30.4%が「自身でもプレイ動画を配信したことがある」と答えています。

一方、ゲーム動画配信への著作権意識が低いのは、ゲームタイトルやメーカーによって動画配信への対応が異なることも起因していると中島弁護士は指摘します。

「映画の無断アップロードはすべてが違法なのでわかりやすいですが、ゲームでは対戦型ゲームやFPSなどに関しては、むしろ『どんどん配信してくれ』と推奨しています。基本プレイ無料のApex Legendsやフォートナイトなども配信を推奨していて、多くの動画が配信されています。そういった現状もあり、『このゲームも大丈夫だ』という認識になっていると考えています」

配信への対応はメーカーやジャンルよって異なる
ゲームの動画配信へのメーカー対応が一様ではないのは、ゲームジャンルによっては宣伝効果が見込まれることも理由です。

2020年8月に株式会社ジャストシステムが発表したデータによると、ゲームのプレイ動画を視聴した後に「公式サイトを見た人」が26.3%、「ゲームを購入した人」が24.2%となっています。影響力のある配信者にメーカーが報酬を支払う例も増えています。

「AAA級のタイトルにもなると、人気配信者に報酬を支払い、プロモーションを依頼しています。ニンジャ氏(ライブストリーミング配信プラットフォームTwitch上で最もフォロワーが多い動画配信者)は、億単位でメーカーと契約しています。人気の配信者における宣伝効果にメーカーが期待している事実があるので、ゲーム動画の違法アップロードを肯定している方々からは『無償で宣伝しているんだからむしろ御礼をするべき』なんて声もあります。そういう感情論とは別に、法律では著作権法上で保護されている著作物の公衆送信権・複製権侵害などに当たる行為をメーカーが個別に許諾をして、初めてゲームの動画配信が可能になっている。その大前提のルールを忘れてはいけません」

例えば、「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」など人気のRPGシリーズを複数保有するスクウェア・エニックスでは、タイトルごとにガイドラインや著作物利用許諾条件を細かく定めています。
(以下リンク先で)