「RPG」と「ストーリー」が融合していく過程

坂口 :あと面白いなと思ったのは、いきなり僕が光の戦士で、主人公なんですよ。物語が流れ出す
って今までのMMORPGでは有り得なかったことですね。何も持っていない孤独感から世界に入って、
いきなりシナリオの波に乗ると『お前が主人公だ』って言われる。あれで上手い具合に独特の
孤独感を、ストーリーという形で埋めてるというか、流れを作ってあげている感じなんですよね。

僕らが最初にFFを作ったときを思い出すと、その時のRPGって『Wizardry』とか、元を正せば
『Dungeons& Dragons』とかですけど、そこには世界があって自分たちはそのなかで職業的な
ロールをこなすだけで、あんまりストーリーはなくて、ダンジョンに行くときの設定として存在する
だけじゃないですか。だからそこにNPC同士の会話とか感情とかはないし、そういうものがRPG
だと思ってたんですよ。

で、FFを作るに至って、どうやってRPGにストーリーを入れられるかって一生懸命試行錯誤して……
RPGだけどストーリーとキャラクターがあるっていうのを最初からやって、ようやく
『FINAL FANTASY IV』あたりから確立した感じなんですけど。

それがFF14をやったら、MMORPGで同じことをやっているんですよ。ストーリーと親和性のない
はずのMMORPGで、がっつり『お前が主人公だ』って言われて。「あ、これって自分がFF1から4で
苦労したことと一緒だ」って思って。だから根本的な構造がFFなんですよ、14は。