「人口減少を考え、街をコンパクトにできないか」

 小山さんは被災後、市が立ち上げた復興市民委員に選ばれた。しかし、その提案は通らなかった。区画整理事業では地区全員分の土地を平等に整備するのが原則だからだ。
約32・5ヘクタールの面積を最大5メートルかさ上げする計画は平成25年に着工した。

 だが、道路拡幅に伴う橋の架け替えなど、計画は遅延する。取り戻そうと、市は人件費を積み増した。工期は3年延び、100億円だった費用は約3倍に膨れあがった。

 人々が街に戻るには時間がたち過ぎた。昨年12月時点で人口は計画の3分の1以下となる866人。区画数503のうち再建済みは予定を含め198にとどまる。

 父の今際(いまわ)の際、誓った店の再建は果たした。「確かに国費を無駄にしたかもしれないが、本当の復興はここからだ」と小山さんは話す。
https://www.sankei.com/affairs/news/210212/afr2102120004-n1.html