いい加減しつこいから、これ貼っちゃうねwww

名古屋のホテルが連日、満室状態なのだそうだ。インバウンド効果がついに、東京、大阪からあふれ出したのか。

ない、ない、ない……。二十数年に及ぶ記者生活で、初めての緊急事態に陥った。
名古屋のホテルが予約できないのだ。
インバウンドもあって、東京、大阪のホテルがいつもいっぱい、とは聞いていたが、まさか名古屋もとは……。

昨年11月上旬、急遽出張が決まり、すぐ大手宿泊予約サイトで翌日の名古屋駅周辺のホテルを探した。
ビジネスホテルが集中しているし、すぐ予約できると思った。
なのに、ビジネスホテルもカプセルホテルも満室。1泊4万〜5万円するシティーホテルは数部屋空いていたが、会社が認めてくれるはずがない。いよいよとなればサウナで一夜を過ごそうと腹をくくったが、幸い取材が予定より早く終わったので新幹線に飛び乗った。

たまたま、というわけじゃなかった。東京都内の男性会社員(35)は、昨夏に名古屋に出張したとき、ホテルが取れなくてファミリーレストランで一夜を明かした。

名古屋駅前のあるビジネスホテルのスタッフは「出張で来られる方から、どうして部屋がないのかとお叱りを受けています」と恐縮する。
いったい、名古屋で何が起きているのか。 夕刻、名古屋駅前。キャリーバッグを引いて歩く旅行客が目立つ。女性(24)に声をかけた。中国・上海から友達3人で訪れたという。

「名古屋城? 行く予定はないわ」

では、なぜ名古屋なのか。女性はこの日の昼過ぎに中部国際空港に到着。名古屋のビジネスホテルにチェックインした。
明朝、高速バスで世界遺産の白川郷(岐阜県白川村)に向かうのだ、と楽しそうに話した。

「日本の田舎暮らしを見たいわ」

彼女たちがたどるのは、いま外国人観光客に人気の「昇龍道」と呼ばれるルートだ。
名古屋から龍が天に昇るように北上し、白川郷や、古い街並みなどで知られる岐阜県高山市、松本城(長野県)、兼六園(金沢市)などを巡る。
中部運輸局を中心に地元自治体も参加して、2012年から外国人観光客にPRしてきた。14年に白川村を訪れた外国人観光客は前年比42%増の約21万2千人で、そのうち9割がアジアからの観光客だった。

「海外からのリピーターが増えるにつれ、東京や京都の次に名古屋をゲートウェーとして中部地域を回ってこられるようになっています」

この恩恵を受けたのが名古屋のホテルだった。名古屋はもともと、東京や大阪から日帰り圏であることが影響し、出張族のビジネスホテル利用はあまり多くなかった。
円安に転じる前の13年1月、名古屋市のホテル客室稼働率は65.8%(観光庁調べ)。それが15年9月には、86.3%にアップ。
東京都港区(85.9%)や京都市(86%)を抜いた。業界では85%以上が満室状態とみなされる。

※AERA  2016年1月18日号より抜粋