三菱地所がJR東京駅前に国内最高層となる390メートルのビル建設を発表したが、2020年の五輪を控えた東京都心はかつてない再開発ラッシュに沸いている。
再開発を加速させているのが国家戦略特区への認定だ。東京駅前に限らず、日比谷や品川、湾岸地区でも同様に特区に認定された地域の再開発が始動しており、まさに“東京大改造”の様相を呈している

「東京に新たなシンボルが誕生する」

 三菱地所が「常盤橋プロジェクト」と呼ぶ新計画を発表した31日の会見で杉山博孝社長は胸を張った。丸の内や大手町のオフィス街で長年にわたり大規模開発を続け、「丸の内の大家さん」とも称される同社だが、総事業費1兆円という巨大開発は異例だ。
 政府は31日、同プロジェクトについて都市計画手続きを開始したと発表。今後は都の審議などを経て、年度内には首相による正式な認定を受ける見通しだ。
 特区に認められれば、ビルの容積率(敷地面積に対する延べ床面積の割合)や用途などの規制が緩和され、大規模で自由度の高い都市開発が可能になる。だが、そのためには防災面の強化や国際交流拠点としての位置づけなど、再開発による都市機能の向上が必要だ。
 今回の三菱地所の案件も敷地内のポンプ場や変電所といった「都市インフラを維持することが評価された」(同社)という。

 同じ東京駅前の八重洲口には、三井不動産と東京建物が250メートル級の超高層ビル2棟を建設する。巨大バスターミナルや国際会議場も整備し、平成35年度までにすべて完成させる。三菱地所の計画と合わせ、東京の玄関口は大きな変貌を遂げることになる。

 同じく31日に都市計画手続きを開始したのが、JR東日本による品川駅周辺の再開発事業。リニア中央新幹線のターミナルで羽田空港とのアクセスの良さも売り物に「世界への玄関口」を掲げ、国際的なビジネス・文化の拠点を目指す。

 森ビルが「六本木ヒルズを超えるインパクトを世の中に与える」(辻慎吾社長)と意気込むのが六本木5丁目の再開発計画。完成時期などは未定だが、超大型の再開発案件となることは確実で、「第2六本木ヒルズ」との呼び声もある。

 特区に認定された地域以外にも、銀座や渋谷駅周辺など再開発案件はめじろ押し。東京五輪前後まではデベロッパー(不動産開発会社)やゼネコンが色めき立つ状況が続きそうだ。

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