【名古屋で進む再開発、ゲートタワー全面開業、集客力に磨き】
日本経済新聞 2017/4/18 7:05
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFD17H1P_X10C17A4L91000/

 JR東海が名古屋駅で開発を進めてきたJRゲートタワーが17日、全面開業した。同駅南側の再開発地区で
インフラ整備が進んでいるほか、中部国際空港(愛知県常滑市)の周辺でも愛知県などが従来より高いビルを
建てやすくしようとの取り組みを進める。日本が人口減少時代に突入するなか、他地域や海外から人を呼び込
もうと街の「集客力」に一段と磨きをかけようとしている。

■「周辺ビルと切磋琢磨」

 ゲートタワーに設けた商業施設「タカシマヤ ゲートタワーモール」では同日午前の開店前、約1300人が行列
をつくった。特に芸能人プロデュースの店舗やキャラクターショップといった一部店舗では入店待ちの長い列が
目立った。

 同モールは年337億円の売り上げを目指す。名古屋駅直結の好立地を生かし、中部3県から幅広く集客を見
込む。同モールは隣接するJRセントラルタワーズのジェイアール名古屋高島屋と3〜8階部分が通路で結ばれ
ており、2つのビルの相乗効果で名古屋の魅力をさらに高める戦略だ。

 ジェイアール東海高島屋の山田正男社長は「若い世代を中心に嗜好や生活様式が多様化している」と分析。
そのうえで「セレクトショップのニーズは強い。百貨店と合わせ、親子客にも楽しんでもらえる」とみている。

 同日開業した名古屋JRゲートタワーホテルは天井が高く、バスタブも大きめのサイズと、外国人を意識した
つくりに仕上げた。フィットネスクラブや保育施設など従来、名古屋駅エリアで不足していたとされる施設も備え
る。

テープカットするJR東海の柘植社長(左から2人目)ら(17日、名古屋市中村区)
http://www.nikkei.com/content/pic/20170418/96958A9E93819496E3E59AE3828DE3E5E2E6E0E2E3E59EEBE3E2E2E2-DSXKZO1541225017042017L91000-PB1-3.jpg

 ジェイアール東海高島屋の山田正男社長は「若い世代を中心に嗜好や生活様式が多様化している」と分析。
そのうえで「セレクトショップのニーズは強い。百貨店と合わせ、親子客にも楽しんでもらえる」とみている。

 同日開業した名古屋JRゲートタワーホテルは天井が高く、バスタブも大きめのサイズと、外国人を意識したつ
くりに仕上げた。フィットネスクラブや保育施設など従来、名古屋駅エリアで不足していたとされる施設も備える。

 名古屋駅の東側では大名古屋ビルヂング、JPタワー名古屋と複合高層ビルの開業が相次いでいたが、JR
ゲートタワーの全面開業で一段落した格好だ。次の大型ビルとしては27年のリニア中央新幹線の開業に合わせ、
名古屋駅前で名古屋鉄道などが完成を目指す「6棟一体再開発」が控えている。

 相次ぐビル建設が単なる供給過剰につながらず、相乗効果を発揮できるのか。街の魅力を高めるためには
「周辺ビルとの共存共栄、切磋琢磨(せっさたくま)が必要」(JR東海の柘植康英社長)になりそうだ。

■街開きへインフラ整備

 名古屋駅南側の再開発地区「ささしまライブ24」では10月の「街開き」に向け、道路などのインフラ整備が進ん
でいる。

 同地区は旧国鉄笹島貨物駅跡地の12.4ヘクタールと、中川運河の堀止め船だまり周辺を含む地域。名古屋
市が1999年度から2021年度までに374億5000万円をかけ、22.1ヘクタールの土地区画整理事業に取り組んで
いる。

 道路については椿町線を延伸して太閤通から大須通を結ぶ工事の一部が完成し、16日には一部区間が開通
した。2019年度には全線が開通する。ささしまライブを東西に抜ける笹島線の整備も続いている。

 すでに主な建物はおおむね完成している。婚礼大手のベストブライダルがホテルを備えた施設を16年に開業し、
中京テレビ放送も同年に社屋を同地区に移転した。大和ハウス工業や豊田通商などの複合施設「グローバルゲ
ート」も今年3月末に完成。同施設内には今秋、プリンスホテルの「名古屋プリンスホテル スカイタワー」がオー
プンする予定だ。