「池袋ではLRTの線路が建設されることを想定し、西武池袋本店に通じるグリーン大通り沿いのコンビニエンスストアの出店を規制しました。その理由は、グリーン大通りに路面電車が走るから、というものです。路面電車とコンビニでは街の景観として調和しないので、なんとかコンビニ出店を辞退してもらい、替わりにカフェが出店しています」

 これは路面電車が走る街にはオープンカフェが似合うという高野区長の意向に沿ったものだとされている。それほど豊島区はLRT構想に力を入れていたが、東池袋の再開発が終わりに近づいても路面電車は姿形も現していない。まだ、豊島区のLRT構想は完全に潰えたわけではないようだが、実現可能性はほとんどゼロに等しい。

「豊島区には都電荒川線が走っているので、区民にとって路面電車は親しみのある存在です。その一方で、豊島区がLRT構想を打ち出した際にも都電荒川線のような“チンチン電車”をイメージする区民が多くいました。豊島区が打ち出したのは、ヨーロッパで盛んに走っている新型の路面電車であり、レトロな路面電車ではありません。しかし、どうしても旧来の路面電車という概念を払拭できず、『なんで、いまさら路面電車なんだ』という反対意見も聞かれました。高齢者のみならず、若年層にも路面電車は古いというイメージが定着していて、思うように理解が広がらなかったのです」(同)