「大阪は沈滞の象徴!?」報道の米紙に日本総領事館が反論を寄稿 2010.11.4 09:13

【ニューヨーク=松尾理也】意気消沈する日本は、とりわけ誇り高き商都大阪のようなところに来るとよく分かる…。
米紙ニューヨーク・タイムズがこんなふうにデフレに苦しむ日本の沈滞ぶりを大阪を舞台に描いた特集記事を掲載したことから、
在ニューヨーク日本総領事館はこのほど、「木を見て森を見ない内容だ」と反論記事を同紙に寄稿した。
言われっぱなしでは済まさないその心意気やよし、だが…。

同紙が記事を掲載したのは先月17日。「日本ほど急激に経済的な繁栄が逆転した国は歴史的にも珍しい」と現状をルポした。

舞台に選ばれたのが大阪。街角に10円ドリンクの自販機が立ち並び、50円でビールを出す食堂もある、とし、
「100円セールデーを行ったが、思ったほど売れなかった」との旭区の千林商店街の声を紹介。

高級クラブが軒を並べる北新地については「ディスカウント・バーやチェーン・レストランが目立つ」と観察し、
「このままでは新地の文化は消え去ってしまう」との老舗バー経営者の声を取り上げた。

これに対し、同総領事館は「記事は日本の社会経済状況を過度に単純化したもので、『木を見て森を見ない』ものだ」と反論。
1日の電子版に掲載された。「外交政策や若者たちの活力をみれば、日本が引き続き世界で指導力を発揮していることは明らかだ」と述べ、
例としてアフガニスタンへの復興支援や、日本の若者の人気の職業が国際的な貿易の仕事であるとの調査結果などを挙げた。

もっとも、記事に登場する「経営していた衣料品店を店じまいし、パートで働きながら日本の元気のなさを嘆くオバチャン」や、
「600ドル(約4万9千円)の激安結婚式に群がるカップル」の描写に対して、アフガンでの国際貢献を持ち出すのはいかにも苦しい。
寄稿は、逆に反論の材料探しにも苦しむ日本の現状を映し出したといえるかもしれない。